2003 Fiscal Year Annual Research Report
メコン川下流(カンボジア)の地形と洪水災害に関する研究
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13571042
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保 純子 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (90275967)
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Keywords | メコン川下流 / 平野 / 微地形 / 洪水 / 表層地質 / 衛星データ |
Research Abstract |
本研究はメコン川下流部平野の地形の特色と洪水の挙動を明らかにするとともに、平野の形成史を解明することも目的とする。この目的のため、人工衛星データの入手とともに、カンボジアにおける地形図・空中写真の入手・判読、関係資料収集、地形ならびに洪水状況に関する現地調査をおこなった。 カンボジア国内メコン委員会(CNMC)において入手した空中写真の判読と現地調査によりプノンペン周辺の微地形分類図を作成したほか、フランスのSPOT衛星による2000年9月の洪水時の画像、LANDSAT衛星データ、日本の衛星JERS-1データなどによる近年の雨季と乾季の画像等との比較を行い、地形と洪水の関係を考察した。また、プノンペン周辺の表層地質資料を入手し、平野の地形と形成史の解明を試みた。 現地調査は各年度夏季(雨季)と冬季(乾季)それぞれ2回ずつ実施し、空中写真判読結果と現地地形・土地利用状況の確認、ハンドオーガーやボーリングステッキによる表層地質調査、メコン河委員会やカンボジア国内機関などにおける資料収集と聴き取り調査などをおこなった。 その結果、メコン川下流平野(プノンペン周辺)はメコン川および支流トンレサップ川、派川バサック川沿いでそれぞれ洪水の挙動が異なり、微地形分布や雨季の浸水範囲、土地利用形態などに特色がみられた。メコン川沿いでは小規模な自然堤防が認められるのに対し、トンレサップ川沿いは全般に低湿であり、さらにバサック川沿いは人為的影響を受けた地形が発達することが明らかとなった。また、表層地質の調査より、北部では基盤岩が浅所に認められ、堆積物も粗粒堆積物が卓越するが、南部・東部では沖積層と考えられる軟弱層が厚く、また基盤深度も大きくなるところが分布することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] KUBO Sumiko: "The Lower Mekong River Plain in Cambodia : Landforms and Deposits."Abstracts, XVI INQUA Congress, Reno, Nevada, USA. 85 (2003)
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[Publications] KUBO Sumiko: "Geomorphological Features and Flood Characters around Phnom Penh, Lower Mekong River Plain."Proceedings of 1st International Conference on Hydrology and Water Resources in Asia Pacific Region, Kyoto. Vol.2. 692-696 (2003)
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[Publications] 久保純子: "メコン川下流平野(カンボジア、プノンペン周辺)の地形と表層地質"日本地理学会発表要旨集. 63. 107 (2003)
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[Publications] 久保純子, 増本隆夫: "微地形情報を利用した歴史的洪水データ復元法の開発"新世紀創生研究プラン「アジアモンスーン地域における人工・自然改変に伴う水資源変化予測モデルの開発」平成14年度研究成果報告書. 39 (2003)
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[Publications] 古城 泰, 久保純子: "カンボジア中部、ソンボーブレイクック遺跡(7世紀)の調査--1998・1999年度調査より--"早稲田大学大学院教育学研究科紀要. No.13. 15-31 (2003)