2001 Fiscal Year Annual Research Report
プランゲ文庫における戦後初期国語副読本の実態および特色に関する調査研究
Project/Area Number |
13571046
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 裕久 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80108373)
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Keywords | プランゲ文庫 / 国語副読本 / 検閲 / サブカルチャー / 戦後初期 / CCD(民間検閲支隊) / CIE(民間情報教育局) |
Research Abstract |
アメリカ合衆国メリーランド州立大学マッケルディン図書館プランゲ文庫所蔵の国語副読本(学習参考書問題集・教師用書等も含む)について全貌把握のための概観調査を実施した。現在、プランゲ文庫でもやっとこれらの副読本のリスト化に着手していて、私の国語副読本調査もこれと平行する形で行った。国語副読本は、棚の数で言えば、小学校2、中学校6、高等学校6、それに教師用1、合計15棚あり、概数にして2,000冊に及ぶのではないかと思われる。これを1冊ずつ、「筆者・編集者、書名、発行所、発行年月日、総ページ数」の項目でリスト化する作業を開始した。初年度の今回は、このうち小学校を対象とした。小学校国語副読本の概観調査での気づきを箇条書き的に記すと、以下のとおりである。 1昭和21年の段階で早くも問題集、学習参考書、副読本等が大量に発行されている。しかも当時の暫定教科書に比して格段に美しい本として発行されている。このサブカルチャーの盛況をどう見ればよいのか。 2国語を含む国定・検定教科書も所蔵されている。となると、教科書はCIEでの事前検閲だけでなくCCDでも事後検閲していることになり、二重の念入りな検閲がなされていたことになる。 3副読本は、全国版として発行されるとともに地域、県単位での地方版の発行も目立っている。これも、この当時の一つの特徴か。 4石森延男・垣内松三・西原慶一・田中豊太郎など、当時の国語教育のリーダーもこれら副読本等の編集に積極的に参加している。 5これら副読本の大半は、国内にほとんど所蔵されていないのではないか。比較所蔵調査が望まれる。
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