2002 Fiscal Year Annual Research Report
プランゲ文庫における戦後初期国語副読本の実態および特色に関する調査研究
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13571046
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 裕久 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80108373)
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Keywords | 戦後初期 / プランゲ文庫 / 国語副読本 / ワークブック(問題集) / ハンドブック(学習参考書) / サブカルチャー / CCD(民間検閲支隊) |
Research Abstract |
プランゲ文庫所蔵の戦後初期(1945-1949)国語副読本・学習参考書・問題集等について、昨年度の概観調査・小学校調査に引き続き、今年度も小学校を中心に、9月・2月の二回にわたって現地調査した。所蔵資料について、それぞれ「書名・著者名・発行年月日・発行所・定価・ページ数」などの基礎データを目録化している。その作業の過程で、本資料に関する次のような特色を見いだしつつある。 (1)国語副読本の発行種類は豊富で、当初想定していた国語教科書の不足(量的にも質的にも)を補うというよりも、むしろサブカルチャーとして自立していたと言ってよかろう。文部省から発行された国定教科書よりも、内容的にも外形的(紙質、挿絵、カラー化)にも優れているものが多く存する。 (2)児童文学作家(坪田譲治・浜田裕介・平塚武二・関英雄・村岡花子・二反長半>や国語教育の実践家(飛田多喜雄・泉節二)が、児童文学・課外読本の編集に積極的にかかわり、これらの質を高めることに貢献しているように思われる。子どもの教養・教育を支える出版文化は、こうして健全であったと言えよう。 (3)教科書準拠の学習参考書・問題集等も、これまた想像以上に多くの種類が発行されている。しかし内容的には類似のものが多く、競うようにして出版した形跡も感じられる。 (4)これらの日本における所蔵状況を把握するため、国立国会図書館、国際子ども図書館、教科書研究センターなどにも現地調査した。問題集・学習参考書などの所蔵は皆無に近いが、国語副読本については児童文学との境界が必ずしも明確でないこともあって、断片的にでも所蔵が期待できそうである。このことについては、今後継続して調査していくつもりである。
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