2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13572005
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮島 喬 立教大学, 社会学部, 教授 (60011300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 克行 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (90305508)
若松 邦弘 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90302835)
原 聖 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (20180995)
定松 文 広島国際学院大学, 現代社会学部, 助教授 (40282892)
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Keywords | 地域 / 民族 / 言語 / アイデンティティ / EU / 移民集住地域 |
Research Abstract |
本年度は、2年目でまとめの年でもあるので、ヨーロッパ現地では、総合的な聞き取りと資料集めに従事し、それらの結果の検討につとめている。 本年度の調査地点は、次の9つであった。1)イギリス・中部およびウエールズ、2)フランス・ブルターニュ、3)フランス・イル・ド・フランス(移民集住地域)、4)・フランス・ドイツ国境地域(アルザス他)、5)フランス・コルス(コルシカ)、6)ベルギー・ワロニー(仏語圏)、7)スペイン・カタルーニア、8)イタリア・アルト・アーディジェ 9)EU本部(ベルギー・ブルッセル)。この内、3)は、本年度検討の末、あらたに加えたもので、歴史的民族地域ではなく、非西欧移民の増加により独自の文化を表出するようになった地域である。 調査研究の整理の結果、つぎのような点があきらかになった。 1)EUの少数文化保護政策は、間接的性格が強く、地域側に文化振興の積極的政策があってこそ有意義たりうる。この点、積極的地域(ウエールズ、カタルーニア等)とそうでない地域(ブルターニュ、ワロニー)の差は大きい。 2)新たに地域議会(ウェールズ議会)の設けられたウェールズ地方では、地域の経済開発の進行とパラレルに、ウェルシュ・アイデンティティの高揚が見られ、この相関性は注目に値するものである。 3)EUの地域政策、とりわけ構造基金配分政策の対象となっているコルシカやワロニーは必ずしも文化振興が順調に進んでいるとはいえない。経済危機→アイデンティティの停滞→文化政策の困難、という関連があろう。 4)フランス国内における移民集住地域の独自文化に今回初めて注目した。今後の分析にまたなければならないが、パリ首都圏(人口の2割が移民)のような地域では、「地域文化」の概念を、そのような観点から再構築する必要があろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 原 聖: "言語からみた国民国家の変容-フランス・ブルターニュ地方を中心に"国民国家はどう変わるか「(梶田孝道他編、東大出版会)」. 85-109 (2002)
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[Publications] 中力えり: "トランスナショナルな空間と文化の分節化--アルザスを事例に"国民国家はどう変わるか「(梶田孝道他編、東大出版会)」. 111-132 (2002)
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[Publications] 宮島喬(共編著): "マイノリティと社会構造"東大出版会. 256 (2002)