2002 Fiscal Year Annual Research Report
生命科学の事業化における技術移転及びベンチャー・キャピタルに関する調査研究
Project/Area Number |
13572025
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
藤原 孝男 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (70173490)
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Keywords | バイオベンチャー / ベンチャーキャピタル / 技術移転 / 研究成果の事業化 / 技術の経営 / バイオクラスター |
Research Abstract |
今年度の研究実績として、欧州、米国、インド、日本の大学関係者、バイオベンチャー企業家、ベンチャーキャピタリスト等に聞き取り調査を、そして国内外の学会等で数件の報告を、各々実施した。 今年度の海外実態調査では、生命科学の研究成果の事業化に向けた技術移転及び、それを促進するための創業支援などの仕組みの状況を、大学、ベンチャー企業、ベンチャーキャピタル等を対象に行なった。先ず、事業を具体化している代表的な海外バイオベンチャーとして、ベルギーのBiocode Hycel、ドイツのBiomol、Noxxon、Diarect、スウェーデンのAffibody、Pyrosequencing、Biacore、Amersham Biosciences、Alpha Helix、Bio Phausia、Personal Chemistry、Karo Bio、Neo Pharma、インドのStrand Genomics、Avesthagen、Gangagen、Aurigene、米国のImmunogen、Inspire、Krenitsky、スイスのHerbonis、Morphochem、Gene Data、フランスのProteogenix、Transgeneを調査したが、基礎研究機関を中核とした地域内でのクラスターを形成していることがわかった。次に、各クラスター内で、投資を中心に創業ネットワークの中核をなすベンチャーキャピタル・投資銀行として、英国のMerlin Biosciences、ドイツのBioAgency、インドのICICI Venture、米国のSigma Capital Group、スイスのNovartis Venture Fundを調査して、国際的な投資案件には共同投資を行いながらも、地元のバイオベンチャーにはリードインベスターとしてベンチャー企業の経営に積極的に介入していることが分かった。そして、基礎研究を担当している大学としては、英国のUniv. of Cambridge、ドイツのTUHH、スペインのEADA、インドのIISc、IIT Delhi、米国のUC Berkeley、Stanford Univ.、UNC-CH、フランスのINSERM、スイスのUniv. of Basel、IMD等を調査し、主要な研究大学では、基礎研究から応用研究への単なるシフトよりも、基礎研究の一層の充実が、事業化の充実と好循環を形成するような社会的財務的な仕組みを形成していることがわかった。また、IMDは新しい大学運営のビジネスモデルとしても興味深い特性を持っていることが明らかになった。このような異種組織間の関係の調査から、技術的情報・人材・資金などの流れの管理において中核的人材の役割の大きさが改めて確認できた。 また、主要な成果報告として、R&D Management Conference 2002(Leuven, Belgium)、IFSAM 6^<th> World Congress(Gold Coast, Australia)、ICMARD 2003(Delhi)、研究・技術計画学会第17回年次学術大会等にての発表や、論文等の発表を行なった。中でも、IFSAM 6^<th> World Congressでは、Best Paper Awardを受賞した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 藤原孝男: "日本的バイオベンチャーの可能性:製造現場における改善の技能から開発・投資におけるリスク管理のスキル獲得へ"中小公庫マンスリー(中小企業金融公庫). 5月号. 6-11 (2002)
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[Publications] 藤原孝男: "(報告要旨)産業創出における大学の役割について:バイオ・ベンチャーへの技術移転を通して"日本中小企業学会論集21:21世紀の地域社会活性化と中小企業(同友館). 第21巻. 179-184 (2002)
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[Publications] Takao Fujiwara: "On Drug Discovery from Genetic Research on Aging through Government-Industry-Consortium Spin-off : A Japanese Trial of Bio-venture Incubation"Proceedings on R&D Management Conference 2002(Leuven, Belgium). (CD-ROM). (2002)
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[Publications] Takao Fujiwara: "Global Sight and Focused Development Activity by Japan's Biotechnological Small Business : IPO Strategy of Precision System Science Co."Proceedings on IFSAM : 6^<th> World Congress(GoldCoast, Australia). (2002)
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[Publications] Christian Muller, Takao Fujiwara: "The commercialization of biotechnology in Japan"Drug Discovery Today. vol.7, No.13. 699-704 (2002)
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[Publications] 藤原孝男: "バイオベンチャーの日本的経営の可能性について:水飴製造企業からバイオ企業に転換した林原生物化学研究所の事例を基に"第17回年次学術大会講演要旨集(研究・技術計画学会). 121-124 (2002)
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[Publications] Takao Fujiwara: "Feasibility of Japanese Management for Bio-Ventures : The Case of Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc."Management of Research and Development in the New Millennium(MacMillan India). 529-537 (2003)
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[Publications] 藤原孝男編: "「バイオ・ベンチャー創業におけるビジネス・モデルの財務的評価に関する研究会」報告書"(財)科学技術交流財団. 45 (2003)