台湾・車籠埔断層コア解析及び孔内物理観測による地震断層の動的挙動と摩擦加熱の研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13573009
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 木村 学 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80153188)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 坂口 有人 海洋科学技術センター, 固体地球統合フロンティア研究システム, 研究員 ; 田中 秀実 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (40236625) ; 伊藤 久男 産業技術総合研究所, 地球科学情報研究部門, 主席研究官 ; 深畑 幸俊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10313206) ; 池田 安隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70134442)
• Keywords: 台湾 / 車籠埔断層 / 断層掘削 / 集集地震 / 断層内物質

Research Abstract

本研究での本年度の計画について、物理検層グループ、断層コア解析グループおよび地質調査グループの研究について下記のような進展があった。
(1)物理検層グループ:平成13年度には、東京大学地震研究所所有のファイバーサーミスタが南部のボアホールに挿入され、温度観測が開始された。現在データを蓄積中である。来年度の前半を目途に熱履歴の変化を時系列でまとめ、解析する予定である。
(2)断層コア解析グループ:コアの破砕帯部分の約120mについて、スラブの切り出しと研磨標本の作成を実施した。現在断層岩の精密な分布図の作成を完了している。また、変形微少構造の観察のために断層岩の岩石薄片試料を製作し、観察を開始した。また化学組成の分析を行うための粉末試料を準備している。全体において現在データを蓄積中であるが、先行している精密断層岩分布図と掘削直後の物理検層結果の対比が行われた。その結果、南北両サイトの掘削コア中での、この度の地震で活動したと考えられる破砕帯から、系統的な正の熱異常が検知された。これは残留摩擦発熱あるいは断層帯への熱水の流入を示唆している。コアの間隙率および透水率の測定の結果から、330m深度の破砕帯を境にして、顕著な間隙率のギャップが確認された。熱異常の結果とあわせて考察した結果、断層北部の破砕帯は、今回活動した断層面が2条あることが読み取れた。
(3)地質調査グループでは、掘削地点付近の地質調査を完了し、あわせて炭質物試料の系統的採取を実施している。これらの試料から、来年度前半までに熱履歴の解析を行う予定である。

Research Products

• [Publications] 安藤 雅孝, 田中 秀実, 伊藤 久男: "地震断層の断層破砕物質の解析"フィリピン海プレート周辺地域における地震断層に関する調査研究成果報告書. 59-142 (2001)
• [Publications] M.Ando, Y.Tsai, M.Zoback, K.Suehiro, H.Ito, J.Mori, H.Tanaka: "Drilling the Seismogenic Zone of the Chelung-pu Fault, Taiwan : Investigating physics of Faulting for Recent Large Earthquake"ICDP Workshop on Drilling the Chelungpu fault, Taiwan. Vol.1. 4-5 (2001)
• [Publications] 田中 秀実, 坂口 有人 他: "台湾・車籠埔断層掘削調査概報"月刊地球特集号「沈み込み帯地震発生帯の物質科学と深海掘削」. No,36(印刷中). (2002)
• [Publications] C.Y.Wang, H.Tanaka et al.: "Shallow reflection seismics aiding geological deilling into the Chelungpu fault after the 1999 Chi-Chi earthquake, Taiwan"Terrestrial, Atmospheric and Oceanic Sciences. (印刷中). (2002)
• [Publications] R.Heemance, Z.K.Shipton, J.P.Evans: "Structural controls and the nature of slip distribution for Earthquake propergation in the l999 rupture of the northen end of the Chelung-pu fault, Talwan"ICDP workshop on drilling the Chelungpu fault, Taiwan. Vol.2(印刷中). (2002)
• [Publications] C.Y.Wang, Chien-Li Lee, H.C.Chen: "Mapping the Chelungpu fault by seismic reflection methods"ICDP workshop on drilling the Chelungpu fault, Taiwan. Vol.2(印刷中). (2002)