2002 Fiscal Year Annual Research Report
自動昇降CTDならびに人工衛星を用いるニオス湖水質の連続自動観測
Project/Area Number |
13573013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日下部 実 岡山大学, 固体地球研究センター, 教授 (20015770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕 吉田技術士事務所, 所長
佐竹 洋 富山大学, 理学部, 教授 (40134994)
長尾 敬介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40131619)
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Keywords | カメルーン / ニオス湖 / ガス災害 / CTD / 化学・同位体組成 / 温度構造 / 密度構造 |
Research Abstract |
1986年にガス災害が発生したカメルーン・ニオス湖では多量の二酸化炭素が溶けている上に、深層水の二酸化炭素が増加し続けている。ガス噴出の再発を防ぐため2001年1月にガス抜きステーションが国際事業として実施され、現在もガス抜きが進行している。 本研究では、(1)ガス抜きの効果を評価するため、湖水中の二酸化炭素濃度の分布と絶対量の変化を測定する、(2)ガス抜きに伴う湖水の循環により生じた湖内部の温度構造、化学構造および密度構造の変化を把握する、ことを目的とした。 本研究では詳細なニオス湖の3次元構造を把握するために、湖に東西および南北方向に2測線を設定し、それぞれ11点および7点でCTD測定を実施した。これにより温度、電気伝導度のpH3次元分布を得ることができた。また様々な深度において採水を行い試料を実験室に持ち帰った後、湖水の化学組成(二酸化炭素、陽イオン、陰イオン)、同位体組成(水素、炭素、酸素、ヘリウム、アルゴン)を測定した。深層水中の二酸化炭素はガス抜きパイプの出口から大気に開放される。深層水は表面に戻され混合される結果、平成15年1月の調査では、表層水の塩分は若干増加していた。しかしながら深層水の温度、塩分、二酸化炭素濃度の分布に変化はなく、今のところ、ガス抜きが湖の物理・化学構造を大きく変化させることはないと判断された。ガス採取法を改良した結果、今までで最も高いアルゴン同位体比(40Ar/36Ar=〜600)が深層水について観測された。高いヘリウム同位体比(3He/4He)とあわせて、マグマ起源のガスが湖底から供給されているとする我々の見解が支持された。
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[Publications] 日下部 実: "カメルーン・ニオス湖における湖水爆発の原因とガス抜きによる再発防止対策の開始"化学と教育. 49. 619-622 (2001)
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[Publications] Kusakabe, M.: "A simple method for sampling total dissolved carbonate in carbonate-rich Natural waters and CO_2 preparation for δ^<13> C determination"Geochemical Journal. 35. 459-564 (2001)
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[Publications] Aka, F.: "Noble gas isotopic compositions and water/gas chemistry of soda springs from the Islands of Bioko, Sao Tome and Annobon along with Cameroon Volcanic Line, West Africa"Applied Geochemistry. 16. 323-338 (2001)
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[Publications] 日下部 実: "カメルーン・ニオス湖ガス災害と地球化学"地球化学. 36. 137-147 (2002)