2002 Fiscal Year Annual Research Report
過去2万年間における東アジアの環境変遷の標準的枠組の構築
Project/Area Number |
13573014
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠藤 邦彦 日本大学, 文理学部, 教授 (70059781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正章 道都大学, 経営学部, 教授 (30226550)
下山 正一 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90136424)
辻 誠一郎 国立歴史民俗博物館, 歴史研究部, 助教授 (20137186)
米田 穣 国立環境研究所, 化学環境部, 研究員 (30280712)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 長江デルタ / AMS法年代測定 / 環境変動の波及 / 完新世海進 / 古環境分析 / テフラ分析 |
Research Abstract |
中国大陸東部と日本列島を中心に,過去2万年間の東アジアの環境変遷の詳細な枠組みを明らかにするため,中国では南東部の長江デルタにおいてボーリングコア採取を含め現地調査を行ったほか,長江中流部において洪湖湖底コアを採取した.これらコア試料について、帯磁率、土色分析をはじめ、珪藻分析、花粉分析、有孔虫分析などを進めた。特に長江デルタにおいてはアイソトープステージ3〜5の堆積物を覆うレス堆積物の分布がデルタ全体の発達過程を考える上で重要なポイントになるため,この地域のレス-古土壌-シークエンスについてもOSL年代測定と共に高分解能の土色,帯磁率,粒度分析等を進めた. 日本列島においては佐賀平野において,海岸から内陸にかけて位置する数木のオールコア試料から多数の層準で良質な年代試料を採取し,AMS法による年代決定を進めた.北海道利別川低地においても,新たにオールコア試料を得,年代測定を行った.これにより沖積層全体の年代観が得られ,海進の楔を捉えることが出来た.関東平野においては,新たな試料のAMS法年代測定を行ったほか,測定済みの試料について安定同位体分析を加え,較正年代に基づく海面変動曲線の確立への見通しを得た. 同時にこれらのコア試料について珪藻分析や花粉分析等の古環境分析を進めている,以上の結果は,暦年較正年代に基づく東アジアの環境変遷の標準的枠組みを打ち立て,グローバルな環境変動の波及過程を検討する上で,各地で有望なデータが集積しつつあることを示している.特に,完新世海進の始まりの前後からピークに至る過程と,ピーク後の過程をこれまでになく高精度に解明できる見通しが得られたといえる.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 遠藤邦彦: "タクラマカン沙漠-黄砂のふるさと-"文明のクロスワード. 19-3. 9-15 (2002)
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[Publications] 遠藤邦彦: "有珠山2000年噴火におけるマグマ水蒸気爆発"日本大学文理学部自然科学研究所「研究紀要」. 36. 65-73 (2001)
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[Publications] 長井大輔他: "粒度分布と凝集構造から見た有珠山2000年3月31日噴火の火山灰"火山. 47,5. 607-617 (2002)
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[Publications] Qi, Fucheng et al.: "Proxy for Millennial Climate Change during the Last 50,000 Years in the Loess-paleosol Sequence at Shengshan island in the East China Sea: Estimation by Soil Color Rcflcctancc Indiccs L^*, a^*, and b^*"The Quaternary Research. 42(2). 113-119 (2003)
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[Publications] Kumamoto, Y. et al.: "Oceanic Radiocarbon in the Japan Sea"Annual Report of NIES-TERRA. 3. 26-33 (2002)
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[Publications] Ishida, D. et al.: "Ages of the Holocene former shoreline deduced from emerged erosional landforms along the southern coast of the Boso Peninsula, Central Japan"Annual Report of NIES-TERRA. 3. 75-80 (2002)
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[Publications] 谷野喜久子: "渡島半島,江差砂丘の構成粒子からみた理化学的性状"第四紀研究. 42巻4号(印刷中). (2003)
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[Publications] 八谷洋一郎他: "白石平野における地下水塩水化メカニズム"土木学会論文集. 706号. 51-59 (2002)