2001 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯泥炭低湿地の環境保全と持続的生産システム構築のための物質循環インベントリ作成
Project/Area Number |
13574012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
波多野 隆介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (40156344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30203235)
米林 甲陽 京都府立大学, 農学部, 教授 (00046492)
岡崎 正規 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (00092479)
児玉 宏樹 京都府立大学, 農学部, 助手 (60305563)
信濃 卓郎 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20235542)
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Keywords | 熱帯泥炭 / 森林火災 / 温室効果ガス / 酸性土壌 / 窒素循環 / 有機物分解 / 水質 / 腐植 |
Research Abstract |
インドネシアカリマンタンの3つの村で計7軒の農家に聞き取り調査をおこなった。人口は2人から8人であった。耕地面積は0.25〜2.47haであり、一人あたり耕地面積は、0.1から0.5haであった。主な作物はトウモロコシで、そのほかササゲなどの野菜が栽培されていた。窒素施与量は、4から228kgN/haと幅があった。化学肥料の使用割合は10から93%で施肥量が多いほど高かった。年間収入は6,380,000〜46,835,000Rp(1円は約100ルピア)の範囲にあり、ほとんどの農家は農産物の販売が主体であったが、7軒中4軒の農家が肥育牛を販売していた。収入の多い農家は、P、Kを施肥し、灰を多く施用していた。 インドネシアカリマンタンの天然林、回復林、燃焼林、異なる作物を栽培している畑(泥炭およびケランガス土壌)において、2000年10月初旬(乾期)、2001年11月下旬(雨期)に、CO_2、CH_4、N_2Oフラックスをチャンバー法によってそれぞれ3〜6反復で測定した(以下フラックス単位はμgC(or N)m^<-2>h^<-1>。森林土壌はCH_4を吸収しN_2Oを放出していたが、10月初旬より2001年11月下旬の方がCH_4吸収(-30〜-56→-6〜-17)、N_2O放出(trace〜7.8→trace〜1.5)ともに低下した。これは、雨期に入り土壌が酸化状態から還元状態へ移行しつつあるためであると考えられた。実際に、10月初旬の地下水位は約80cmであったが11月下旬の地下水位は約40cmまで上昇していた。泥炭土壌の畑では、CH_4は放出し(2〜73)、大きなN_2O放出が見られ、さらに比較的近い所に位置する作物間でN_2O放出が大きく異なった(草地:14〜18、キャッサバ:69〜136、トウモロコシ:130〜480、ササゲ:1614〜2973)。一方、ケランガス土壌の畑は、CH_4(-13〜-38)を吸収し、N_2O放出(1.7〜8.8)も小さかった。泥炭土壌の地下水位は20〜40cm付近であったのに対し、ケランガス土壌の地下水位は少なくとも1m以内には見られなかった。以上より地下水位がCH_4、N_2Oフラックスに大きな影響を与えるとともに、畑土壌では作物やマネジメントの違いがN_2O放出量をコントロールする要因になっているのかもしれない。
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