2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯泥炭低湿地の環境保全と持続的生産システム構築のための物質循環インベントリ作成
Project/Area Number |
13574012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
波多野 隆介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (40156344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 京 北海道大学, 大学院・農学部, 助教授 (30203235)
米林 甲陽 京都府立大学, 農学部, 教授 (00046492)
岡崎 正規 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (00092479)
児玉 宏樹 京都府立大学, 農学部, 助手 (60305563)
信濃 卓郎 北海道大学, 大学院・農学部, 助教授 (20235542)
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Keywords | 熱帯泥炭 / 森林火災 / 温室効果ガス / 酸性土壌 / 窒素循環 / 有機物分解 / 水質 / 微量元素 |
Research Abstract |
1)Parangka Raya近郊のKalampangan zoneの熱帯泥炭天然林、回復林、燃焼跡地の表層0-20cmの土壌試料を用いて、微生物性に関する分析を行なった。一般細菌数、糸状菌数には植生の違いによる顕著な違いは認められなかった。微生物バイオマスは火災跡地に比べ、天然林、再生林で3倍程度高い値を示した。森林が消失することで、微生物バイオマスは顕著に減少するが、植生の回復と共に微生物バイオマスも回復すると推察された。 2)Kalampangan村の泥炭農地とTangkiling村の硬質土壌農地から採取した土壌試料も加えて、微量元素のうちBの測定を行なった。その結果、泥炭森林地のB含量は0.5〜1.7mg/kg、泥炭農地では0.3〜4.1mg/kgとやや農地が高く、泥炭土壌の平均は1.5mg/kgであった。一方Tangkilingの硬質土壌農地のB含量は23〜50m/kgであり、平均25.6mg/kgであり、日本の硬質土壌の48mg/kgよりやや低かったものの、泥炭に比べ圧倒的な高かった。 3)森林地3箇所とKalampangan村の作物の異なる農地4箇所を選択し、土壌からのCO_2、CH_4、N_2Oフラックスおよび土壌中ガス濃度(0、5、10、20、40、80cm)の測定を約3ヶ月ごとに測定した。CO_2は、森林では雨期で大きく、乾期で小さかったがみられたが、農地では差は無かった。CH_4は、森林で農地より吸収量が多く、雨期により大きい吸収を示した。N_2Oは現在分析中である。Kalampangan Zoneは2002年6月から10月まで森林火災が生じた。火災跡地の調査により深さ平均31cm、301tC/haの泥炭が焼失したと見積もられ、その間のガス放出は、CO_2,CH_4 and N_2Oの通常の放出のそれぞれ1000培、100000培、1000倍であった。 4)営農形態の異なる4農村において、窒素循環関連の聞き取り調査を行ない、.収支を求めた結果、圃場の余剰窒素は都市部に近い畑作畜産複合農村では(100kgNha^<-1>y^<-1>)であったが、その他の農村では(30kgNha^<-1>y^<-1>)以下であった。余剰窒素が(103kgNha^<-1>y^<-1>)以上となると、飲用水基準の10mgNL^<-1>を超える可能性が示唆された。
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