2001 Fiscal Year Annual Research Report
南半球におけるタバコ属植物(ナス科)進化の統合研究
Project/Area Number |
13575009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00193524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 健 信州大学, 理学部, 教授 (40176425)
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 教授 (40237996)
青木 誠志郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10334301)
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Keywords | タバコ属 / 南半球分布 / 分子系統学的解析 / 種分化 / 交雑 / 倍数化 / 自家不和合性 / 新野生種 |
Research Abstract |
タバコ属(ナス科)は南米37種,豪州・南太平洋20種,アフリカに1種が分布する典型的な南半球分布を示す。本属は遺伝学・生理学的研究に利用が進み生物学的特性の理解が最も進んだ植物と言って過言でない。しかしながらその系統的研究は途上にあり野生種多様性の解析は開始を待つ段階である。 本年度は本属起原の地と目されるボリビア及びその南アルゼンチン北西部における分布調査を行った。調査は車による移動を基本としアルゼンチンで1000kmボリビア3600kmに渡った。調査に当り全ての移動における10km単位の野生種の分布を個体数と共に記載した。採取植物は標本にすると共に生葉をシリカゲル乾燥させ持ち帰った。このサンプルは核遺伝子PGI, RNase, 葉緑体遺伝子matKによる詳細な系統解析に使用した。 本調査の結果新種と考えられる植物分布を2種発見した。一つはアルゼンチンのアンデス山系北部に分布しnoctiflora節に属すると考えられた。近縁植物との形態比較でこの新植物は既知タバコ属種間のshoot形成における形態進化の移行段階を説明できることが示唆された。これとは別にボリビアのラパス州北部で未知の形態を示す新植物を発見した。形質解析の結果この新植物に近い分布の既知野生種数種との類似が観察された。これら野生種の多くは複二倍体であり本調査で発見された新植物もまた交雑や倍数化が起源である可能性が推測された。 現在両新種の形質の詳しい解析と共に葉組織から抽出したDNAによる分子系統解析を進めその起源と進化について成果を出しつつある。また自家不和合性遺伝子S-RNaseの単離により種分化機構を解析している。ところで今回は属全体の分布調査のため広地域に渡る長距離の迅速な移動を旨とした。このため新植物の観察は調査域の1地点に限られた。この後新植物の分布や生態研究のため発見地近傍の詳細な調査が必要と考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Watanabe K., Yahara T., Soejima A., Ito, M.: "Mexican species of the genus Stevia (Eupatorieae, Asteraceae) : Chromosome numbers and geographical distribution"Plant Species Biol. 16. 49-58 (2001)
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[Publications] Ishikawa, H., Kano, A., Watano, Y., Ito, M., Kurita, S.: "Development of primer set to amplify nucleic PgiC gene for ferns"J.Plant Res.. 135. 43-47 (2002)
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[Publications] Ebihara, A., Iwatsuki, K., Kurita, S., Ito, M.: "Systematic position of Hymenophyllum rolandi-principis Rosenst. or a monotypic genus Rosenstockia Copel. (Hymenophyllaceae) endemic to New Caledonia"Acta Phytotaxonom. Geobot. 53(1)(in press). (2002)