2002 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物の歯の電子スピン共鳴線量計測による旧ソ連南ウラル地域の被曝線量の地域分布
Project/Area Number |
13575033
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
豊田 新 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (40207650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 忠蔵 奥羽大学, 歯学部, 教授 (70083441)
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50099090)
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Keywords | 国際研究者交流 / ロシア / 放射線被爆 / 電子スピン共鳴 / ストロンチウム90 / 線量計測 / 歯 / ヒドロキシアパタイト |
Research Abstract |
第2次世界大戦以後、旧ソ連の原子力利用の開始と共に、南ウラルにソ連の最初のプルトニウムの生産のためのプラントの複合体が建設され、1948年に原子炉及びプルトニウムの抽出のための化学プラントが稼動を始めた。この後、このプラントに関連して、テテャ川の汚染を始めとする、大きな3つの汚染、及び事故が起きた。そのために、この地域には大量の放射性廃棄物に関連した核種によって汚染されたが、特にストロンチウム90の汚染がひどいことが特徴である。ストロンチウムは骨や歯のカルシウムを置き換えるので、本研究の場合には歯のヒドロキシアパタイト中に取り込まれる。これは歯の内部からの被曝を引き起こす。 本研究では、プラントのあるオゼルスク及び周辺の牧場の25体の牛から歯を採取し、歯に含まれるストロンチウム90を測定すると共に被曝線量を計測した。ストロンチウム90の計測のために、ベータ線に感度をもつ、イメージングプレートを利用した。歯を縦及び横に切断し、遮蔽の鉛ブロックの中で、信号を消去したプレートの上に1週間おいた。プレートを取り出し、イメージングプレート読み出し装置によって、分布を計測した。また、ストロンチウム量が既知の試料を測定し、それとの比較によって濃度を定量した。その結果、25対のうちの5体について、濃淡のイメージが計測された。歯のエナメルの部分の濃度は低かったが、象牙質との境界付近に濃集している様子が得られた。また濃度として最大15Bq/9の値が得られた。汚染の高い地域に高い濃度がみられたが、同じ地域でもばらつきがあった。電子スピン共鳴により歯のエナメルについて被曝線量を求めた。4本について300-400mGyという線量が得られたが、この低い線量領域については、人の歯とは異なるバックグラウンドの信号の寄与が大きいため、これを考慮した牛の歯専用の信号分離を考える必要がある。
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[Publications] S.Toyoda, H.Tanizawa, A.A.Romanyukha, C.Miyazawa, M.Hoshi, Y.Ueda, Y.Nitta: "Gamma ray dose response of ESR signals in tooth enamel of cows and mice"Radiation Measurements. (in press).
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[Publications] S.Toyoda, H.Tanizawa, E.Tielewuhan, M.Hoshi, C.Miyazawa, A.A.Romaiiyukha: "Electron spin resonance (ESR) dosimetry of human tooth enamel of low dose region using a numerical method with matrices"Proceedings of the 36^<th> Midyear Topical Meeting of the Health Physics Society. 282-287 (2003)