2004 Fiscal Year Annual Research Report
青海・チベット草原生態系における炭素循環のプロセスとメカニズムの解明
Project/Area Number |
13575035
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
唐 艶鴻 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (40270590)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 博 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (50303516)
鞠子 茂 筑波大学, 生物科学研究科, 助教授 (10251018)
関川 清広 玉川大学, 理学部, 助教授 (40226642)
|
Keywords | 炭素循環 / CO2 / 草原 / チベット / 光合成 / 土壌呼吸 / エネルギー収支 / 水循環 / 土壌呼吸 / エネルギー収支 / 水循環 |
Research Abstract |
本研究の最終年度では、青海草原の炭素循環のプロセスとメカニズムを解明するため、中国青海省海北地区のKobresia草原において、引き続きCO_2・h_2Oと熱フラックスの長期観測、草原植物の光合成・呼吸特定測定を行うと同時に、モデリングによって草原の炭素動態(炭素吸収と放出の時間変更)に関するシミュレーションを行なった。本年度の主な研究発表として、(1)陶器蘚苔類の光合成と生態系呼吸に関して測定データをさらに解析した。チャンパー法による測定結果では冬季草原では蘚苔類の光合成がなかったことが判明した。また、生態系呼吸の変化は土壌温度に依存し、とくに土壌温度が0度前後にその依存関係が大きく変化することを示した。その結果をSoil Biology and Biochemistry誌に公表した。(2)一方、2005年3月に現地蘚苔類を採集し、光合成に及ぼす温度と湿度の影響についての測定を行なった。その結果では、チャンパー内温度が10℃前後で温度が40%であると明らかな光合成反応を示すことがわかった。一方、光の急激な変動に対して蘚苔類が「速やかな」光合成速度の変化を示した。現在、その結果をさらに解析し、論文を作成中である。(3)チベット高原草原の炭素循環プロセスを解明するため、シミュレーションモデルとこれまで40年間の気象データを使って、草原炭素収支の時間変動を詳しく解析してみた。その結果、過去40年ではチベット高原草原生態系は、吸収量が少ないながらCO2のシンクであること、と過去20年ではそのシンクの強度は大きく減少したことが分かった。一方、植物生理生態特徴を注目してKobresia草原の炭素動態の時間変動をモデルでシミュレーションした結果では、強光環境は高山草原の炭素収支を5%程度低下させたことが示唆された。
|
Research Products
(5 results)