2002 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける新興・再興感染症拡散に係る媒介動物の分布様式の解明
Project/Area Number |
13576005
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
高田 伸弘 福井医科大学, 医学部, 助教授 (90003409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 博己 大原綜合病院, 附属大原研究所, 主任研究員
岩崎 博道 福井医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10242588)
矢野 泰弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (60220208)
増澤 俊幸 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (10181645)
石畝 史 福井県衛生研究所, 主任研究員
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Keywords | 国際研究者交流 / 多国籍 / ライム病ボレリア / 紅斑熱リケッチア / ヤマトマダニ / シュルツェマダニ / 病原体拡散 / 分子疫学 |
Research Abstract |
表記研究のポイントとして、昨年の調査で証明できた東アジア共通媒介種/.ovatus (lo)の分布と病原保有状況について中国や台湾を、また既知の北アジア共通媒介種/.persulcatus (lp)の分布と病原保有状況については南西諸島から本土各地を追調査した。 1.東京都(2002年4月にレプトスピラシンポジウム):前年のタイ、ネパール調査成績を発表。 2.中国中西部(2002年4月に西安〜秦嶺山脈):中国大陸の南北要素を分ける当地域にてlpおよびloを収集。 3.南西諸島(2002年5月にトカラ〜奄美群島):日本列島の本土要素の南限地域を確認。 4.瀬戸内地方(2002年5月に淡路島):日本初バベシア症の由来地区にて基礎調査。 5.東北地方(200年6月に北上山地〜十和田〜八甲田):lpおよびボレリアの散在を確認。 6.甲信越地方(2002年6月に富士北面〜越後山脈):lpおよびボレリアの濃厚分布を確認。 7.淡路島(2002年8月にセミナー兼班会議):本研究期間の前半成果を総括し次年度計画を策定、また招聘講演会。 8.東北地方(2002年9月に北上山地〜下北半島):5.の追加調査で、総合成果は2003年4月に日本感染症学会にて発表予定。 9.高知県(2002年11月に日本熱帯医学会):感染症調査の討議、加えて同県内の予備調査。 10.台湾(2002年12月に中〜南部):予備調査ながら小型哺乳類から各種病原体を検出。 11.南西諸島(2003年2月に奄美大島〜徳之島):ベクターや野鼠につき病原体検索を継続中。 12.台湾(2003年3月に中部):分布を推測していたloを証明し、病原体は検索継続中。 以上データの分子疫学的解析によれば、新興再興感染症の拡散経路として、従来知られた北アジア経路と新たな東アジア経路との境界線が見えてきた。それはまた、地域ごとのベクターや宿主動物を介して欧州からわが国まで拡散して来た道筋を示唆する。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Fournier, E.P.: "Genetic Identification of Rickettsiae Isolated from Ticks in Japan"J.Clin.Microbiol.. 40・6. 2176-2181 (2002)
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[Publications] Fujita, H.: "Preliminary report on rickettsial strains of spotted fever group isolated from ticks of China, Nepal and Thailand"Annual Report of Ohara General Hospital. 44. 15-18 (2002)
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[Publications] 岩崎博道: "アジアにみられるリケッチア感染の重症化機序に関する研究"大山健康財団年報. 26. 1-4 (2002)
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[Publications] 高田伸弘: "寄生性ダニ類の病原媒介様式-特にわが国とアジア大陸との関係-"衛生動物. 54・1. 1-12 (2003)
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[Publications] 高田伸弘: "日本型ヒトバベシア症の媒介機序(1)初発をみた兵庫県における媒介動物の調査"感染症学雑誌. 76・増. 132 (2002)
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[Publications] 斎藤あつ子: "日本型ヒトバベシア症の媒介機序(2)兵庫県で得た病原虫の性状解析と血清疫学調査"感染症学雑誌. 76・増. 133 (2002)
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[Publications] 矢野泰弘: "ヤマトマダニ幼虫の吸血に赤血球寄生原虫バベシアの動態"衛生動物. 53・補. 63 (2002)
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[Publications] 藤田博己(高橋優三, 粕谷志郎編): "わが国におけるマダニ種と紅斑熱群リケッチアの多様性(虫の知らせ-2001年寄生虫学会・衛生動物学会西日本合同大会の記録-)"(株)三恵社. 448(95-101) (2002)
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[Publications] 高田伸弘(高橋優三, 粕谷志郎編): "我国周辺のライム病ボレリアの疫学調査における新たな展開(虫の知らせ-2001年寄生虫学会・衛生動物学会西日本合同大会の記録-)"(株)三恵社. 448(109-113) (2002)
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[Publications] 斎藤あつ子(高橋優三・粕谷志郎編): "兵庫県におけるバベシア症の疫学調査(虫の知らせ-2001年寄生虫学会・衛生動物学会西日本合同大会の記録-)"(株)三恵社. 448(117-128) (2002)
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[Publications] 矢野泰弘(高橋優三・粕谷志郎編): "マダニ媒介性新興感染症の病原体の微細構造について(虫の知らせ-2001年寄生虫学会・衛生動物学会西日本合同大会の記録-)"(株)三恵社. 448(131-146) (2002)