2002 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシア大陸におけるライム病ボレリア種の分布、維持伝播機構解明とライム病の制圧
Project/Area Number |
13576014
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
増沢 俊幸 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (10181645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 正紀 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00295560)
角坂 照貴 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90109760)
高田 伸弘 福井医科大学, 医学部, 助教授 (90003409)
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Keywords | ライム病 / ボレリア / マダニ / Ixodes / Borrelia burgdorferi / ライムボレリア症 / ロシア / トルコ |
Research Abstract |
欧州とアジアの境界に位置するモスクワ近郊、トルコの調査で得たボレリア分離株の分子生物学的性状解析と種の同定、及び媒介マダニ種、保有動物種の確定を行うとともにボレリア種との関連性を検討した。 Ixodes ricnus、I. persulcatusが混生するモスクワ地域にて採取した両マダニ種由来ボレリア84株(保有率13.3%)のうち、53%をB. gariniiと同定し、43%をB. afzeliiと同定し、この2種が主なボレリア種であることを明らかにした。両マダニ種が混生する地域においてもI. ricinusはアジア型B. gariniiを、I. persulcatusはB. burgdorferiを保有せず、ボレリア種と媒介マダニ種間の特異的な関係の存在を確認した。 ライム病の実態が全く不明であったトルコで、I. ricinussからボレリア12株(保有率3.8%)の分離に初めて成功し、B. burgdorferi、B. garinii、B. afzelii、B. lusitaniae、B. valaisianaの存在を明らかにした。さらに、トルコにおいてHyalomma aegyptium(イボマダニ)の1種から風変わりなボレリアを分離した。パルスフィールドゲル電気泳動解析より約950kbpの直鎖状の染色体、145〜30kbpの複数の直鎖状プラスミドを保有する点、及び電子顕微鏡により観察した形態はボレリア属に共通する性状を示した。一方、その増殖速度は極めて速く、34℃〜39℃での一世代時間はライム病ボレリアの半分の約5時間であった。また、鞭毛、16SrRNA遺伝子系統解析から、ライム病群、回帰熱群のいずれのクラスターにも属さない、新規なカテゴリのボレリアであることを明らかとし、新種B. turcicaの記載を予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 増澤俊幸: "ライム病、その臨床と病原体ボレリアの世界規模での維持伝播機構"生化学. 74. 122-127 (2002)
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[Publications] 増澤俊幸: "微生物ゲノム情報と医学「スピロヘータゲノムが語るもの」"現代医療. 34. 324-330 (2003)
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[Publications] 増澤俊幸: "ライム病、回帰熱"小児科診療. 109. 2121-2125 (2002)
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[Publications] Miyamoto, K., Masuzawa, T: "Lyme Borreliosis : Biology, Epidemiology and Control"CABI Publising(UK). 22 (2002)
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[Publications] 高田伸弘: "虫の知らせ(第57回日本寄生虫学会西日本支部大会と第56回日本衛生動物学会西日本支部大会の記録"我が国周辺のライム病ボレリアの疫学調査における新たな展開. 5 (2002)