2002 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア抵抗性に関与するヒトの遺伝性因子の分子疫学的調査
Project/Area Number |
13576017
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白川 卓 神戸大学, 医学部, 助教授 (30171044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 茂 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30087150)
松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 教授 (10157266)
西山 馨 神戸大学, 医学部, 教授 (00150061)
|
Keywords | マラリア / G6PD / α-サラセミア / 楕円赤血球症 / ヘモグロビン異常 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
本年度はネパールとマレーシアにおいて調査を実施した。ネパールでは昨年度から濾紙を用いて臍帯血および末梢血の収集を行い、これらを日本に持ち帰り遺伝子の解析を進めている。現在これらの検体のうち200検体の分析を終了したが、マラリア低汚染地域であるカトマンズ盆地周辺の住民を対象としたためαサラセミアの頻度は約20%であった。その他のヒトのマラリア抵抗性遺伝因子といわれているG6PD欠損症、楕円赤血球症およびHbS,HbC,HbEは検出されなかった。今年度の調査で新たに500検体を入手したが、これらはマラリア汚染地域であるタライ平原の住民も含まれており、カトマンズ周辺とは違った結果が期待される。また、マレーシアとの共同研究ではマレーシア科学大学医学部倫理委員会の許可が得られたことから、臍帯血の収集を開始している。これまでにコタバル周辺住民の新生児溶血性黄疸や急性溶血性貧血患者におけるG6PD欠損症を調査し、マレーシア北部におけるG6PD欠損症の遺伝子頻度が明らかになったので、その結果を共同研究者のDr.Narazahが論文にまとめて報告した。また、マレーシアでは献血ドナーに認められる変異と新生児等で溶血性黄疸を発症した患者に認められる変異とは変異部位の出現頻度が異なることが確認された。次に、シンガポールとの共同研究で明らかになった中国系、インド系、マレーシア系それぞれの遺伝子変異出現頻度の結果をもとに、これらの変異を簡便に検出できるDNAチップを現在検討中である。本研究費で購入したdHPLCはHbS、HbC、HbEの検出ならびにG6PD欠損症の未知変異検出に利用し、変異検出の効率化に貢献している。来年度は検体の収集および分析をさらに進め、成果を論文にまとめる。
|
Research Products
(1 results)