2001 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおけるエイズ患者の神経病変に関する社会医学的調査研究
Project/Area Number |
13576021
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
木林 和彦 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米満 孝聖 熊本大学, 医学部, 講師 (10128332)
猩々 英紀 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60284626)
恒成 茂行 熊本大学, 医学部, 教授 (80040202)
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Keywords | 国際研究者交流 / タンザニア連合共和国 / 後天性免疫不全症候群 / HIV / 神経病理 / HIV脳炎 / 結核 / トキソプラズマ |
Research Abstract |
本研究はタンザニア連合共和国ダルエスサラーム市のムヒンビリ大学医学部病理学講座との国際共同研究であり、当地における後天性免疫不全症候群(エイズ)患者の神経病変の種類と頻度を調査し、その結果を臨床医学に還元し、アフリカのエイズ患者を救済することを目的とする。 研究分担者の米満孝聖がムヒンビリ大学医学部病理学講座に1ヶ月間出張し、海外共同研究者のJames N.KitinyaとMartin P.Mbondeと共に、タンザニア連合共和国ダルエスサラーム市において、法医解剖例の抗体スクリーニング検査をELISA法とウェスタンブロット法を用いて行い、HIV感染10症例を抽出し、臨床経過を調査し、病理組織標本を作成した。また、海外共同研究者のJames N.Kitinyaを佐賀医科大学医学部法医学講座に1ケ月間招聘し、研究代表者の木林和彦並びに研究分担者の恒成茂行・狸々英紀と共に神経病理学的検討を行い、脳のホルマリン固定パラフィン切片について、HIVのp24抗原に対する抗体を用いた免疫組織化学を行った。 その結果、HIV感染者には、高頻度にリンパ球性髄膜炎が認められ、脳内にHIVの侵入は認められなかった。タンザニアの感染者は肺結核等でHIV感染後早期に死亡する例が多いため、一般にキャリアに認められるリンパ球性髄膜炎が高頻度であり、HIVの脳内侵入が認められなかったものと考えられた。現在までに感染者62例の神経病理学的検査を終了し、タンザニアにおける感染者の神経病変の特徴としては結核菌と一般細菌による髄膜脳炎が多いことが明らかとなり、トキソプラズマ脳炎の症例を始めて確認できた。結果を取りまとめた論文を投稿中であるが、研究成果は当地でのエイズ患者の診断と治療に活かされるものと期待される。また、本研究を通じて、当地の法医解剖には抗マラリア薬クロロキン服用による自殺例が多いことに着目し、現在、クロロキンの法中毒学的研究も行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ng'walali PM: "Toxoplasma encephalitis in HIV"East African Medical Journal. 78. 275-276 (2001)
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[Publications] Kibayashi K: "Traumatic basal ganglia hematoma in a fatal traffic accident victim"Legal Medicine. (in press).
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[Publications] 木林 和彦: "若年型パーキンソン病患者の交通事故死例:乗車位置と運転能力の検討"法医病理. 7. 25-29 (2001)