2001 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアで多発する前頭骨部?骨部脳瘤の分子遺伝学的調査
Project/Area Number |
13576023
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 教授 (10157266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 馨 神戸大学, 医学部, 教授 (00150061)
西尾 久英 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80189258)
竹島 泰弘 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (40281141)
白川 卓 神戸大学, 医学部, 助教授 (30171044)
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Keywords | 前頭骨部篩骨部脳瘤 / Neural tube defect / メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素 / 疾患責任遺伝子 / 疾患感受性遺伝子 / SNPs |
Research Abstract |
前頭骨部篩骨部脳瘤Frontoethmoidal Encephalocele(以下FEEと略す)は「顔面中央部の骨欠損と、そこから突出する脳瘤」を主徴とするNeural tube defectであるが、その病因は全く不明である。また、最近、脳脊髄膜瘤に代表されるNeural tube defectとメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子のC677T変異のホモ接合体の関連が話題になっている。しかし、FEEとMTHFRの関連を示す報告はない。 我々は、以前よりインドネシア国マラン地方に多発するFEEについて実態調査を行ってきたが、最近、FEE患者の同胞例を見つけ、本症が常染色体劣性遺伝疾患である可能性を示唆した。平成13年度も、マラン地方に赴いて、Brawijaya大学医学部の研究チームとともに、患者の家を訪問し、現病歴、既往歴、家族歴等について聞き取り調査を行うとともに、患者とその家族の採血を行った。帰国後、FEE患者13家系13例について、MTHFR遺伝子上の変異の有無をDHPLC法とシーケンス法を用いて検討した。 FEE患者ではナンセンス変異、欠失・挿入変異、SNPs以外のミスセンス変異を検出できなかったことより、MTHFR遺伝子がFEEの疾患責任遺伝子であることは否定的となった。また、次にMTHFR遺伝子がFEEの疾患感受性遺伝子の1つである可能性を検証するために、MTHFR遺伝子の4種類のSNPs (C677T、C1060T、A1298C、G1910A)について調べたが、患者の遺伝型分布には特徴的な傾向もなく、対照群(43例)と有意な差は見出せなかった。このことは、MTHFR遺伝子が疾患感受性遺伝子である可能性はかなり低いことを示している。平成14年度には、神経系の発生に関わる他の遺伝子について検討する予定である。
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