2001 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋島嶼マラリア地帯における人類および原虫多型と抗マラリア剤治療効果
Project/Area Number |
13576030
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
金子 明 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60169563)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 秀顕 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80244094)
小早川 隆敏 東京女子医科大学, 医学部, 主任教授 (10072951)
石崎 高志 熊本大学, 大学院・臨床薬学薬物治療講座, 教授 (50158747)
塚原 高広 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90328378)
美田 敏宏 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80318013)
|
Keywords | マラリア / 多様性 / アフリカ / ヴァヌアツ / パプア・ニューギニア / MSP-1 / クロロキン(CQ)耐性 / pfcrt |
Research Abstract |
本研究班においては、マラリアに関する環境と遺伝学的多様性を継続的に中心命題としている。特にアジア・太平洋島嶼とアフリカ・サハラ以南のマラリア流行地を比較することにより命題にアプローチする。本年度は特にヴァヌアツ島嶼における熱帯熱マラリア原虫(Pf)MSP-1遺伝子多型、およびマラウイにおけるクロロキン使用と耐性遺伝子Pfcrtの変遷について検討した。またパプア・ニューギニア東セピック川地域において新たな調査を開始した。 Pfメロゾイト表面にはワクチン候補たんぱく質MSP-1が存在し、著しい抗原多型を示す。これには有性生殖期における対立遺伝子間の組み換えが関与する。ヴァヌアツのPf原虫集団における組み換え頻度を調べる為に、1996年から1998年の間にヴァヌアツ4島嶼で得られた138株についてMsp-1遺伝子5'側と3'側多型を解析した。5'側ハプロタイプはわずか4個で他地域に比べて非常に少なかった。さらに異なるハプロタイプの重複感染は2.1%と非常に低く、また5'側と3'側多型の連鎖不平衡はすべての島嶼で非常に強かった。これらの結果はヴァヌアツ島嶼においてMspの組み換えが極端に低いことを意味する。 マラウイでは1993年クロロキン(CQ)耐性増加(47%)によりCQ投与が中止された。同国で1998・2000年、熱帯熱マラリア感染例に対しCQ in vitro耐性および耐性遺伝子多型を検討した。計96例中9%がCQ耐性(CQR)、pfmdr1N86Y・pfcrtK76T変異はそれぞれ48%・7%であった.後者変異率はCQ使用中のアフリカ諸国より有意に低かったが、両変異ともCQR例との相関はなかった。これはCQ圧減少が原虫K76T変異を減少させCQ感受性が回復したこと、さらに原虫CQR能へ他の遺伝子多型も寄与することを示唆する。 パプア・ニューギニアの自然環境は多様である.中央高山帯からサバンナ,熱帯雨林、湿地帯、海岸のマングローブ林と変化に富み、さらに大小の島嶼地域を含む.また700の言語集団があるとされている。これら多様な自然および文化的環境要因を2つの軸に、マラリアと関連するヒト、原虫および媒介蚊多様性を説明することを目的とし、東セピックにおける海外調査をパプア・ニューギニア大学との協力のもとに開始した。
|
Research Products
(13 results)
-
[Publications] Mita T., et al.: "Recovery of chloroquine sensitivity and low prevalence of Pfcrt K76T in Plasmodium falciparum following withdrawal of chloroquine use in Malawi"(Submitted). (2002)
-
[Publications] Sakihama N., et al.: "Limited recombination events in merozoite surface protein-1 alleles of Plasmodium falciparum on islands"Gene. 279. 41-48 (2001)
-
[Publications] Lindegardh N, , et al.: "Automated solid-phase extraction method for the determination of amodiaquine,chloroquine and their metabolites in capillary blood applied onto sampling paper by high performance liquid chromatography"Chromatographia. (In press). (2001)
-
[Publications] Sakihama N., et al.: "Long PCR amplification of Plasmodium falciparum DNA extracted from filter paper blots"Exp Parasitol. 97. 50-54 (2001)
-
[Publications] Kaneko A., et al.: "Malaria dichotomy in the Pacific [ Comment to Terrel et al. Foregone Conclusions? : In search of "Papuans" and "Austronesians". Current Anthoropology 2001 ; 42 : 97-124]"Current Anthoropology. 42. 115 (2001)
-
[Publications] 金子 明ら: "ヴァヌアツにおけるCYP2C19多型とproguanilによるマラリア治療"臨床薬理. 32(2). 331S-332S (2001)
-
[Publications] Bwijo B., et al.: "Findings of decreased chloroquine resistance in Plasmodium falciparum isolates of Malawi"Clinical Parasitology. 12(1). 145-147 (2001)
-
[Publications] 美田敏宏ら: "Malawiにおける熱帯熱マラリア原虫クロロキン耐性遺伝子PfcrtおよびPfmdrl多型の検討"Clinical Parasitology. 12(1). 148-150 (2001)
-
[Publications] Kaneko A.: "Vanuatu : The southwestern limits of Island Malaria"Program and Abstracts of 2^<nd> International Eijkman Symposium. 25 (2001)
-
[Publications] Kaneko A.: "Malaria on Islands : Human and Parasite Diversities and Implications for Malaria Control(Special Lecture)"Proceedings of The 17^<th> Annual Meeting of the Chinese Society of Parasitology. 10. 11 (2001)
-
[Publications] 蟻田功ら: "日本がグローバル・リーダーシップを"JICAフロンティア. 23. 4-7 (2001)
-
[Publications] 金子 明: "ラボと現場の「リエゾン」に"JICAフロンティア. 23. 11 (2001)
-
[Publications] Page, C.V. et al.(eds.): "Integrated Pharmacology 2^<nd> ed.'Drugs acion on parasites.'"C.V. et al.(eds.) : London ; Mosby(In press). (2002)