2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610012
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
千田 義光 國學院大學, 文学部, 教授 (10052169)
|
Keywords | 現象学 / フッサール / ハイデガー / 知識論 / 主観性 / 方法論 |
Research Abstract |
本年度は本研究の初年に当たるが、科学研究費補助金の交付決定が11月にずれこんだため、当初計画を大幅に変更せざるをえなかった。本研究の中心となるのはフッサールおよびハイデガーにおける現象学の研究であるが、申請時に予定したベルギー、ドイツ等のフッサール・アーカイヴでの研究は行えず、それに代えて所属機関の補助によるドイツでの学会に出席して、各国の研究者と意見交換をした。 20世紀のもっとも代表的な哲学・思想運動としての現象学は、地域的・学問分野別にみても広い広袤と深い影響力をもつが、しかし必ずしもそれのもつ意味が十分に解明され理解されていることはいえない。今年度は、そのための土台作りを主眼にして研究を行った。 設備としては、今日依然として続々刊行されているドイツ語、英語、日本語の研究文献の整備に主に努め、とりわけフッサールおよびハイデガー研究成果の収集を行った。それと連関して、本年は、ハイデガー前期(1919-29)の現象学的分析を彼の哲学的思考の展開に即しながら考察して、その成果の一端を2001年12月に完成させ、ドイツ語での論文としてオランダの書店から発行される本に投稿した。この論文においては、ハイデガーの「構成」概念に注目しつつ彼の哲学における分析されることのできなかった問題性を論じた。また、2002年3月にはフッサール現象学の主観性概念を主題にした論文を執筆し、今日「主観の死」がさまざまな論者から指摘されるなかで、西洋近代哲学の主流としての主観(主体)主義の典型としてのフッサール現象学における主観ないし主観性概念の意義を考察する。
|