2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610012
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
千田 義光 国学院大学, 文学部, 教授 (10052169)
|
Keywords | 現象学 / 現象学運動 / フッサール / ハイデガー / フィンク / パトチカ / 現象学の現象学 / 応用現象学 |
Research Abstract |
本年度は当研究の2年目に当たり、昨年度は実施できなかったドイツでのフッサール未公刊草稿を閲読した。草稿そのものは既刊のものが近年多くなったが、30年前後の「方法」と「現象学の自己批判、現象学の現象学」に関わるもので、未公刊のものを読んだ。現象学運動の展開にとってこれら両主題は直接に現象学の理念の鍵となる概念であるが、前年に引き続きこれらの点をフッサール、ハイデガー、フィンク、パトチカを軸にしながら研究を進めた。論文としては「フッサールと主観性」という表題で執筆した。同論文において彼の現象学を西欧近代哲学の中心概念である「主観性ないし主体性」に関連づけ、彼の前後の「主観性の形而上学」と「その批判」を考慮しながら、いまだ捉え尽くされているとは言えない「主観性」の現象学的分析の有意味性と限界性の点において分析した。またチェコの哲学者パトチカを研究し、西欧の周辺からの哲学的思索が西欧にとってのみならず、我々非西欧にとってもつ意義を考察した。 他方、いわば「応用現象学」とでもいうべき哲学の関連分野での広義の現象学も展開されている。そのなかから環境ないしエコロジー思想、看護学など応用倫理と接点をもつ分野での研究に努めた。これによって現象学運動を原理的な哲学研究にとどめず、広い裾野と射程をもつ思想運動として把握し、現象学的理念の着実な展開を明確にすることとした。そうすることで、日本での1920/30年代の活発な現象学的思想の発展の生産性をも跡づけようとした。
|
Research Products
(1 results)