2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610022
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森 雅秀 金沢大学, 文学部, 助教授 (90230078)
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Keywords | チベット絵画 / タンカ / 仏教美術 / マンダラ / カーラチャクラ / ボストン美術館 / イコノグラフィー / 寺院構造 |
Research Abstract |
本研究は、チベットの仏教絵画を対象にその図像内容の解明と様式の確定を行うことを目的とする。 今年度は研究全体の基礎的な作業として、これまでに公表されているチベット絵画の資料を網羅的に収集し、パーソナル・コンピュータを用いてデータベースの構築をすすめている。研究代表者自身がこれまで収集してきた写真資料もあわせて、画像データベース化するとともに、個々の作品から抽出した主要なモチーフやテーマに関する情報や、文献から収集した情報などもこれにリンクさせて、統合的なデータベースとしている。 これをふまえて、図像内容の特定を中心とした図解解釈学的研究を進めている。マンダラや尊像の比定を行い、典拠となる文献との照合をへて、作品と文献との関係について考察を進めている。また、寺院の壁画の場合、寺院全体のプランと壁画の主題との関係を考察し、寺院の構造と作品との関係にも検討を加えている。これらは次年度に行う予定の様式史研究のための基礎的なデータともなる。 個別的な作品についての研究として、アメリカ合衆国のボストン美術館に所蔵されるタンカを取り上げて、その図像内容の解明と、チベット仏教美術史上における位置づけについて考察を行った。その結果、この作品がインドで著されたマンダラ儀軌書『ヴァジュラーヴァリー』と密接な関係を持っていることが明らかになった。さらに、『ヴァジュラーヴァリー』と関連するチベットのタンカの中では、もっとも原典の記述に忠実であることなどが解明された。
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