2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610051
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
大越 愛子 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00223777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 士郎 近畿大学, 文芸学部, 講師 (10319759)
岡野 治子 広島大学, 文学部, 教授 (50204003)
井桁 碧 筑波女子大学, 国際学部, 助教授 (40306105)
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Keywords | ジェンダー / フェミニズム / セクシュアリティ / 暴力 / 優生思想 / 生命倫理学 / 性と生殖に関する権利 / 近代日本思想 |
Research Abstract |
この共同研究では初年度の取り組みとして研究計画通りに3回の国内での公開研究会、2回の海外での研究会参加等を行い、下記の通りの成果を得た。 第1回研究会(於神戸)では、大越他が編著者となった『フェミニズム的転回』(裏面記載)での問題提示を引き継いで、「共同体と暴力」を主テーマとして、講演者3名を迎え(川村邦光氏(大阪大学)、田中雅一氏(京都大学人文研)、長谷三知子氏(コロラド大学))、活発な討議を行った。特に、戦時下日本の靖国・護国神社体制の暴力的構造や、インド・アフリカ等の性的儀礼における暴力の問題等を通して、「共同体への同化」の構造が浮き彫りとされた。第2回研究会(於追手門大学)では、海外から講演者を迎え(チョー・カー・キョング教授(ニューヨーク州立大学))、日本的共同体を正当化する言説としての和辻倫理学の射程と問題点について討議を行った。 以上二回の研究会によって、共同体への同化を特に女性に強いる隠れた暴力的制度としての、優生思想および「生命倫理学」の再検討の必要性が自覚されてきた。そこで第3回の研究会(於広島大学)は、「生命倫理、優生思想とジェンダー」を主テーマとして行い、講演者1名(岡本珠代氏(広島県立保健福祉大学))を含めて、医療現場や研究現場での性役割、ジェンダーバイアスの問題点や生命倫理学理論の限界と問題点、戦前・戦中の日本の産児調節運動と優生思想の結合、等について発表・報告がなされた。過去二回の研究会と同様、教員、院生を含めた広範囲の研究者の参加と活発な質疑応答があり、同テーマに関する問題意識の共有が見られたことは大きな成果であった。 2回の韓国出張では、いずれも「女性と戦争・人権センター」主催(於延世大学)のシンポジウムに大越・井桁が参加し、1回目の会では大越が日本のフェミニズムと慰安婦問題に関して発表報告をした。また次年度の研究発表予定者(チョン・ジンソン(ソウル大学)他)との打ち合わせも行った。大越はまた、ニューヨーク(於Church Center)においても従軍慰安婦問題について報告を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大越愛子: "フェミニズムと「慰安婦」問題"第1回日韓共同女性歴史研究国際セミナー資料集(韓国語・日本語). 69-76 (2001)
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[Publications] 大越愛子, 井桁碧他: "フェミニズム的転回-ジェンダー・クリティークの可能性"白澤社. 237 (2001)