2002 Fiscal Year Annual Research Report
薬師寺最勝会の形成過程の研究-儀礼・音楽における伝承・創造の視座から
Project/Area Number |
13610056
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
澤田 篤子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00101262)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿谷 紀郎 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00324880)
寺尾 正 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (90163899)
古坂 紘一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50116175)
|
Keywords | 仏教儀礼 / 声明 / 論議 / 最勝会 / 薬師寺 / 勅会 |
Research Abstract |
1)最勝会関連現行儀礼の調査:千年有余間における最勝会の変形の様相解明のため、高野山勧学院御最勝講、同金剛峰寺内談義、東大寺天皇殿講問答、同最勝十講、同大仏開眼1250年記念東大寺大仏殿最勝王経講讃法要、法隆寺吉祥悔過,東寺御修法を調査した。 2)最勝会および御齋会関連文書の調査:第一次史料としては薬師寺経蔵最勝会関連文書の悉皆調査、興福寺国宝館蔵・東大寺図書館蔵最勝会関連文書の調査、その外金剛峰寺および東大寺の最勝講次第の複写を直接入手した。第二次史料については『大日本仏教全書』収載の薬師寺・興福寺関係文書、『日本書紀』『大乗院寺社雑事記』『中右記』『延書式』『貞観儀式』『江家次第』『教訓抄』『続教訓抄』『體源抄』『楽家録』『貞観儀式』等にみられる記述を抽出し、データベースを作成した。 3)声明旋律復元び演奏:五線譜および雅楽譜による復元譜作成、および復元演奏とその録音を行った。 4)最勝会の儀礼構造の解明:各時代における御齋会・維摩会・最勝講・慈恩会の次第比較から儀礼の骨格を類推し、再構成を試みた。 5)最勝会の表白・問答等の内容:薬師寺蔵の『略問答』、貞慶撰『最勝問答抄』、慧沼撰『金光明最勝王経疏』等から分析、および再構成を試みた。 6)『金光明最勝王経』の分析および解釈 論義法会には饗応・芸能などの部分があり、様々な音楽・芸能が発展し、音楽史・芸能史上、その果たした役割は大きいが、最勝会については史料の限界からその点は解明不可能であった。このことから、今日的な視座から、まず所依の経典たる『金光明最勝王経』を再評価し、芸能(芸術)性を組み込んだ最勝会の再構成を試み、さらに次年度に実際に厳修を行う計画を立案した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 古坂紘一: "最勝会の沿革と『金光明最勝王経』の経釈・問答-薬師寺文書『最勝会表白』『略問答』を中心に-"大阪教育大学研究紀要-第I部門人文科学. 第51巻第1号. 87-111 (2002)
-
[Publications] 澤田篤子: "『金光明最勝王経』に関わる儀礼における伝統と創造-シアターピースとしての視座から"お茶の水音楽論集-徳丸吉彦先生退官記念特集号. 第5号(予定). 1-20 (2003)