2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70237139)
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Keywords | 視線の理解 / 選好注視法 / 視覚探索 / チンパンジー / マカクザル / タマリン / 比較認知 / 比較認知発達 |
Research Abstract |
平成13年度は、視線の理解の基礎となる視線方向の弁別能力についての実験的検討を行った。視線方向の検出機構や共同注意というものが、他者の「心」を理解する上で大きな基盤のひとつになっていることがヒトでは知られている。ヒト以外の霊長類でも半自然場面での実験的観察などにおいて、他個体の視線などを利用して自らの注意をコントロールしうることが示されてきてはいるが、視線をどの程度まで正確に把握しているのかについては、まだまだわかっていない。そこでまず、霊長類が視線方向をどのように知覚しているかを調べるために、まず、チンパンジーとマカクザル、タマリンの乳児個体を対象として自分の方に向けられた視線は「目立つ」か?という問題について、選好注視法を用いて調べた。その結果、チンパンジー乳児では、目線がそれている顔よりも目線があっているかおをより好むことが示された。マカクザル、タマリンの実験は継続中であり、結果を分析中である。 またチンパンジー成体を対象に自らに向けられた視線(direct gaze)の顔写真と他の方向を向いた(averted gaze)写真を用いて視覚探索課題を訓練している。視覚探索課題では2つの刺激のうちのいずれを標的刺激とするか、妨害刺激とするかによって成績が大きく異なるという探索非対称性という現象が知られている。次年度は、この探索非対称性をもとに、direct gazeとaverted gazeの間の処理過程の違いの有無について検討する予定である。
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[Publications] Fugot, J., Tomonaga, M.: "Effects of element separation on perceptual grouping by humans and chimpanzees"Animal Cognition. Vol.4. 171-177 (2001)
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[Publications] Myowa-Yamakoshi, M., Tomonaga, M.: "Perceiving eye gaze in an infant gibbon"Psychologia. Vol.44. 24-30 (2001)
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[Publications] Tomonaga, M.: "Action-based distractor effects on the manual response times of chimpanzees during discrimination tasks"Cognitive Brain Research. (in press).
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[Publications] Tomonaga, M., Matsuzawa, T.: "Enumeration of briefly presented items by the chiupavzee and humans"Animal Learuing & Behavior. (in press).
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[Publications] Myowa-Yamakoshi, M., Tomonaga, M.: "Development of face recognition in an infant gibbon"Infant Behavior and Development. (in press).
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[Publications] 友永雅己: "こころの起源をさぐる-比較認知科学からのアプローチ-"こころの科学. 100号. 29-40 (2001)