2002 Fiscal Year Annual Research Report
子どもによる出来事の想起とコミュニケーション(1)-面接場面の分析-
Project/Area Number |
13610094
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
仲 真紀子 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (00172255)
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Keywords | 認知・発達心理学 / 裁判心理学 / 子どもの面接法 / 出来事の記憶 / 想起 / コミュニケーション / 質問 / ナラティブ |
Research Abstract |
研究の状況:本年度の目標は(1)、面接法のガイドライン案の作成と(2)面接法の比較実験であった。そこで,まず,イギリス内務省が作成したフェーズドアプローチ(ラポールの形成,自由ナラティブ,質問,クロージングの4フェーズから成る)を参考に,暫定的なガイドラインを作成した[著書「対話の理解」に関連研究を掲載]。また,この「自由ナラティブを中心とした面接法」(ナラティブ面接法)と従来の「質問を中心とした面接法」(質問面接法)の比較を行った。方法は以下のようなものであった。ある女性が幼稚園を訪れて園児とゲームを行う。その1週間後,別の女性が幼児に面接を行い,何が起きたかを聞き出す。参加した園児は26名。彼らを2群に分け,ナラティブ面接法か質問面接法のいずれかの方法で面接を行った。その結果,質問面接法の方が産出された全体的情報量は多かった。しかし,正確な情報はナラティブ面接法での方が多かった[分析・執筆中]。この実験では,概ね予想された通りの結果が得られた。しかし,同時に,幼児からより多く情報を引き出すには,質問の種類だけでなく,間(ま)やあいづち等のパラ言語的な測度も重要であることが示唆された。そこで,パイロット的に3人分の対話を事例としてとりあげ,間,あいづち,質問と応答の関連を検討した。その結果,間が十分とられていないこと(0〜2秒。英国のガイドラインでは10秒待つことが望ましいとされる),あいづちが多いことが示唆された[「幼児への面接(1),(2),(3)」として発表]。 その他の執筆活動:昨年度実施した(1)母子による出来事の想起をめぐる対話の分析と(2)面接の事例研究を公表した[「中国人親子による出来事の対話」「自己は記憶によってつくられる」「Child interview」]。また,面接においては顔の同定が行われることも多い。この観点から,すでに得ていた資料(3)を分析し公表した[「The effect of repeated photo identification」「顔の再認」]。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 敬愛, 仲真紀子: "中国人親子による出来事の対話:母親と父親は幼児の出来事の語りをどのように引き出すか"発達心理学研究. 13. 274-283 (2002)
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[Publications] 仲真紀子: "自己は記憶によってつくられる-出来事を記憶し語ることの発達"児童心理. 5月号. 118-123 (2002)
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[Publications] Naka, M: "Child interview in court : A case study of Lawyerese"Proceedings of International conference of Appllied Psychology (Singapore). 40-40 (2002)
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[Publications] Naka, M., Itsukushima, Y., Itoh, Y., Hara, H.: "The effect of repeated photo identification and time delay on the accuracy of the final photographic identification and the rating of memory"International Journal of Police Science and Management. 4. 53-61 (2002)
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[Publications] 仲真紀子: "顔の再認における記憶の同調"日本心理学会第66回大会発表論文集. 764-764 (2002)
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[Publications] 丹藤克也, 打越愛, 加地雄一, 仲真紀子: "幼児への面接(1)質問と応答の分析;(2)問(ま)の分析;(3)あいづちの分析"法と心理学会予稿集. 9-11 (2002)
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[Publications] 仲真紀子: "対話行動の認知 井上他(編)日常認知の心理学"北大路書房. 147-167 (2002)