2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610100
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 同志社大学, 文学部, 教授 (30094428)
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Keywords | 表情認知 / 感情空間 / モーフィング / 次元説 / フラクタル / 時系列 / 多次元尺度構成法(MDS) |
Research Abstract |
表情の認識が離散的になされるとする基本感情説と次元的になされるとする次元説との論争に対し筆者はこれまで次元説を支持する報告を行ってきた。今年度Perceptural and Motor Skills誌に発表したものは、Picture of facial affectの基本6表情について、各表情間でモーフィングされた表情に対する認知構造を検討すると同時に、各表情について4段階の強度の違いを持つ表情をモーフィングによって作成し、それぞれの感情強度の各表情間でモーフィングされた表情に対する認知構造をMDS(多次元尺度構成法)を用いて検証した。その結果、各強度条件において従来見いだされてきたように「快-不快」と「活性-不活性」という2軸が見いだされた。また、重相関係数の結果から、各条件の2次元構造は定量的に均質であることが見いだされた。この結果は、表情認知における次元的解釈の頑健性を示すものと解釈された。しかしながら、モーフィング表情の布置を詳しく見るとその線形性は保たれておらず、揺らぎが認められた。North American Journal of Psychobgy誌に掲載された論文は表情認知の時間的側面に注目したものである。実験ではPicture of facial affectの基本6表情と無表情間を10段階でモーフィング処理し、表出過程の表情を作成し、プロフィール法により評価を求め、MDSにより解析した。その結果、表出の初期段階では各表情に認知に様々な感情成分が内包されており、まず「喜び」の表情とネガティブな表情が分化し、時間経過に伴いそれぞれの表情の認知構造が確定していくという感情空間の分化の過程が見出された。尚、得られた各感情の布置は従来の2次元で解釈可能であったが、やはり線形性は維持されず、認知の揺らぎが観察された。この認知の揺らぎに注目し、そこにフラクタル性が存在することを見出し、表情認知構造は1.18次元からなることを報告した(Fractals,誌)。その他、環境心理学関係の論文を公表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takehara, T., Suzuki, N.: "Robustness of the two-dimensional structure of recognition of facial expression: Evidence under different intensities of emotionality"Perceptural and Motor Skills. 93. 739-753 (2001)
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[Publications] Sibata, S., Suzuki, N.: "Effects of indoor foliage plants on subjects' recovery from mental fatigue"North American Journal of Psychology. 3(2). 217-228 (2001)
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[Publications] Takehara, T., Suzuki, N.: "Differential processes of emotion space over time"North American Journal of Psychology. 3(3). 385-396 (2001)
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[Publications] Takehara, T., Ochiai, F., Suzuki, N.: "Fractals in human emotional facial expression recognition"Fractals. 10(1). 47-52 (2002)
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[Publications] Sibata, S., Suzuki, N.: "Effects of the foliage plant on task performance and mood"Journal of Environmental Psychology. (in press).
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[Publications] 浜 治世, 鈴木 直人, 浜 保久: "感情心理学への招待-感情・情緒へのアプローチ-"サイエンス社. 285 (2001)