2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13610100
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 同志社大学, 文学部, 教授 (30094428)
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Keywords | 表情認知 / 感情空間 / 感情語 / 次元説 / フラクタル / モーフィング / 多次元尺度構成法(MDS) |
Research Abstract |
著者はこれまで、表情あるいは感情語の意味空間を次元説という枠組みでとらえる実験をおこない、感情の認識が離散的になされるとする基本感情説と次元的になされるとする次元説との論争に対し、次元説を支持する報告を行ってきた。今年度はこれまでの表情研究に加え、感情語を用いた研究を行った。感情語を用いた実験でも従来表情研究で見いだされてきたように「快-不快」と「活性-不活性」という2軸からなる意味空間上に布置され、その構造の頑健性、有用性が見いだされた。この結果は、ヒトの感情認識はまず、ポジティブ感情かネガティブ感情といった大雑把な、ヒューリスティックなとらえ方に続いて個々の感情を識別するようになるとする筆者らの予想を支持する結果と解釈される。今年度の特筆すべき成果は、昨年度より注目してきた感情の意味空間における、表情や感情語の布置にみられる"揺らぎ"の現象に着目した研究をFractals誌に発表したことである。感情の意味空間上にみられるこれらの揺らぎは、これまで心理学では通常、測定誤差として扱われてきたものであるが、著者らはこの"揺らぎ"に法則があるのではないかと考え、複雑系の概念を導入した。その結果、表情の感情意味空間への布置にはフラクタル構造が存在することを発見し、感情の意味空間は1.18次元で構成されていることを見いだした。この発見は恐らく世界で始めてである。その他、3つの環境心理学に関する論文を公表した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shibata, S., Suzuki, N: "Effects of indoor foliage plants on subjects' recovery from mental fatigue"North American Journal of Psychology. 3. 385-396 (2002)
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[Publications] Sibata, S., Suzuki, N: "Effects of the foliage plant on task performance and mood"Journal of Environmental Psychology. 22. 265-272 (2002)
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[Publications] Takehara, T., Suzuki, N.: "Fractals in human emotional facial expression recognition"Fractals. 10. 47-52 (2002)
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[Publications] 小谷恵美, 鈴木直人: "中心視野情報と周辺視野情報が姿勢制御に及ぼす影響"Equilibrium Research. 61. 210-215 (2002)
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[Publications] Yik, M.S., Russell, J.A., Ahn, C.K., Fernandez Dols, J.M., Suzuki, N.: "Relating the Five-Factor Model of personality to a circumplex model of affect : A five language study"In R. R. McCrae & J. Allik (Eds.) The Five-Factor Model of personality across cultures. New York : Kluwer Academic. 79-104 (2002)