2003 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者の痴呆早期診断システムと治療教育プログラムの開発に関する心理学的研究
Project/Area Number |
13610118
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
菅野 敦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10211187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 かおり 鶴見大学, 短期大学部, 助教授 (50259199)
池田 一成 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50293006)
橋本 創一 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10292997)
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Keywords | 知的障害者 / 痴呆診断 / 加齢 / 治療教育プログラム / 心理学的研究 / ダウン症候群 |
Research Abstract |
1.平成15年度の研究目的:本年度(平成15年度)は、昨年度、知的障害者の加齢にともなう精神機能、身体機能に関する診断テストとして開発した「試行版知的障害者用精神機能診断テスト」と「試行版知的障害者用運動機能診断テスト」を実際に知的障害者に適用し、有効性、妥当性の検証を行うとともに、健康な知的障害成人と痴呆の診断を受けている者との、(1)精神機能及び、(2)身体機能を比較することを目的とした。 2.方法:研究目的を実現するために、一昨年度の調査研究で対象となった知的障害者のうち、(1)健康な知的障害成人で20、30、40、50歳代の者各5名を対象に「試行版知的障害者用精神機能診断テスト」と「試行版知的障害者用運動機能診断テスト」を実施した。同様に、(2)痴呆の診断を受けている知的障害成人5名に「試行版知的障害者用精神機能診断テスト」と「試行版知的障害者用運動機能診断テスト」を実施した。 3.結果: (1)「試行版知的障害者用精神機能診断テスト」の結果:健康な知的障害成人においては、加齢にしたがい6領域の成績の低下傾向が見られた。特に、「知識」、「記憶」、「空間知覚」の3領域の低下が著しかった。一方、痴呆診断を受けている知的障害成人者の結果は、その重症度に応じて低い結果であった。 (2)「試行版知的障害者用運動機能診断テスト」の結果:健康な知的障害成人においては、加齢にしたがい6領域の成績の低下傾向が見られた。特に、「協調性」、「巧緻性」、「敏捷性」の3領域、の3領域の低下が著しかった。一方、痴呆診断を受けている知的障害成人者の結果は、精神機能同様その重症度に応じて低い結果であった。 (3)なお、両診断テストの有効性、妥当性の検証は、現在、分析中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 菅野敦, 橋本創一, 池田一成 他: "知的障害(児)者の知能特性 -障害種別の特徴と加齢の影響-"東京学芸大学 特殊教育研究施設 研究報告. 第2号. 71-82 (2003)
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[Publications] 小島道生, 菅野敦, 橋本創一, 細川かおり: "知的障害通所授産施設における個に応じた支援"東京学芸大学 特殊教育研究施設 研究報告. 第2号. 83-89 (2003)
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[Publications] 小島道生, 菅野敦, 橋本創一, 細川かおり: "ダウン症者の加齢に伴う老化兆候と行動・精神衛生面の変化"日本発達障害学会 第38回大会 発表論文集. 46 (2003)
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[Publications] 夫允深, 菅野敦, 橋本創一: "ダウン症者の知能における加齢の影響"日本発達障害学会 第38回大会 発表論文集. 47 (2003)
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[Publications] 夫允深, 菅野敦, 橋本創一: "ダウン症者の知能と生活環境との関係"日本特殊教育学会 第41回大会発表論文集. 402 (2003)