2001 Fiscal Year Annual Research Report
学校現場における子どもの「荒れ」と教師の「疲れ」についての実践的研究-「荒れ」の背景にある現代社会の「私事化」傾向に注目して-
Project/Area Number |
13610120
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 美奈子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (20278310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 順子 吉備国際大学, 社会福祉学部, 助教授 (00330621)
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Keywords | 教師のバーンアウト / 学校現場の荒れ / スクールカウンセラー実践 |
Research Abstract |
学校現場における子どもたちの間題が深刻化するのと並行して、教師の精神衛生の悪化が指摘されるようになった。教師のメンタルヘルスについては、実証研究でも臨床実践からも多数の報告があるが、学校現場の「荒れ」と教師の「心身両面の疲れ」との関連を扱った研究は多くない。「子どもたちが見えにくくなった」と言われるが、その「わからなさ」が教師の従来の指導方針を無力に感じさせ、それが教師の疲れの背景にあるとも考えられる。以上のような間題意識を元に、本年度は以下のような実践ならびに研究成果の発表を行った。 1)スクールカウンセラー実践ならびに、教員対象の研修活動の中で得られた教師のバーンアウトの実態と、その背景にある学校現場の間題について考察するとともに、それについてシンポジウムでの話題提供を行った。 2)教師対象の調査を行い、バーンアウトの実態について調査した。さらに、その背景にあると考えられる要因として「子どもの荒れ(問題状況)」を取り上げ、一方、抑制要因として、ソーシャル・サポート要因(職場内・外のサポート関係)、個人的な生活時間(生活時間の実態)について調べた。その結果、教師のバーンアウトの背景に、子どもたちの心の間題の蔓延が関連していることが示唆された。さらに、職場内よりも職場外にサポート関係や相互支援関係(互いに高めあえる仲間関係)を持っている教師のほうがバーンアウトしにくいという実態が明らかになった。以上の結果については、学会ならびにシンポジウムにて報告を行った。
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[Publications] 伊藤美奈子: "教師のストレスと教師教育の課題-心理臨床の立場から見た学校現場の荒れと教師の疲れ-"日本教師教育学会第11回研究大会発表要旨集録. 54 (2001)
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[Publications] 伊藤美奈子: "教師のバーンアウトとその背景にある学校の荒れ"日本心理学会第65回大会発表論文集. 0987 (2001)
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[Publications] 伊藤美奈子: "教師のバーンアウト"教育と医学(2002年3月). 39-46 (2002)
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[Publications] 伊藤美奈子: "心理臨床の現場から見た学校現場の荒れと教師の疲れ"日本教師教育学会年報. (印刷). (2002)