2001 Fiscal Year Annual Research Report
対人相互作用における抑鬱的な人に特徴的な認知・行動傾向の自動性に関する実験的研究
Project/Area Number |
13610181
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
工藤 恵理子 青山学院女子短期大学, 教養学科, 助教授 (30269386)
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Keywords | 抑鬱 / 自動性 / 自己呈示 / 自己呈示に対する予測 / 自尊心 |
Research Abstract |
実験参加者に特性形容詞に対する当てはまりを回答する形で自己呈示を行わせ、その後にその回答を見た他者が回答者(実験参加者自身)に対して抱く印象を推測させた。その際に半数の被験者は6桁の数字を暗唱する課題をしながら推測を行った。よって、実験デザインは、抑鬱傾向(抑鬱的・非抑鬱的)×認知負荷(あり・なし)の2×2であった(実験参加者数は88名)。 先行研究からは、抑鬱的な人の自己呈示に対する他者評価の推測は、非抑鬱的な人のそれと比べ好ましくない内容になると予測されたが、軽度抑鬱群と非抑鬱群で大きな違いはなかった。これに対し、高自尊心者と低自尊心者の自己呈示に対する他者評価の推測は大きく異なっており、高自尊心者は低自尊心者に比べて自己呈示に対する他者評価を好ましく推測していた。 また、認知負荷の効果は、抑鬱傾向とは独立して認められ、特に有能さの次元において、認知負荷により推測が好ましくなる傾向が認められた。しかし、好ましさの次元では認知不可能効果は認められなかった。 現段階では、自己呈示内容の望ましさと、実際の他者評価のデータが得られていないため(14年度にこれらのデータを得る実験を実施する予定)、抑鬱的な人の推測が非抑鬱者と異ならないのは、自己呈示内容が異ならないためなのか、呈示内容と予測が相殺する方向で働いているためなのか、特定できないのでこの点を検討する予定である。 一方で、より制約のない自己呈示状況とそれに対する他者評価およびそれに対する推測を検討するための実験準備を行った。ビデオ撮影、編集刺激作成などの方法の検討およびパイロット・スタディがほぼ終了し、平成14年度には、本実験を実施する予定である。
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