2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神医療改革と権利擁護制度形成に関するアメリカ・カナダ・日本比較研究
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13610197
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 涼子 金沢大学, 法学部, 教授 (80262541)
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Keywords | 精神医療 / 権利擁護 / アドボカシー / 地域支援 / 地域ケア / 医療政策 / アメリカ合衆国:日本 / 脱施設化 |
Research Abstract |
1.精神医療の社会資源を施設から地域へ移していったアメリカ合衆国及びカナダの政策について、昨年度、実地調査したアメリカ合衆国ウィスコンシン州マディソンの制度をモデルとして検討を進めた。また当地を再訪し資料収集を行った結果、(1)郡の精神医療政策にリカバリー理念が導入され当事者の関与をさらに押し進めるプログラムが進行していること(2)その背景の1つにマネイジドケアの導入による社会資源振り分けをめぐる公的・私的セクターのせめぎ合いがあること(3)精神病院や地域のケアシステム内での権利擁護の進展の一方で、ナーシングホームの入所者に含まれる精神障害者へのケアやその権利擁護が課題となっていること、等の現状が明らかになった。なお当初予定していたカナダへの実地調査は、予定地の事情により行えなくなったが、文献調査及び上記マディソン訪問時の専門家へのインタビューにより、アメリカ合衆国とカナダの精神医療政策比較のための資料を得た。2.日本の精神医療政策の現状について、(1)日本における施設から地域への政策転換の現状について、日本型ACTのパイロットスタディの資料収集を行うとともに、(2)精神医療審査会に関する資料収集を行った。後者に関して、権利擁護システムとしての機能を充分に果たし得ない問題点の原因の1つに、退院後の地域支援が少なく実際には家族に依存せざるをえない現状があることが明らかになった。3.以上の知見を第76回日本社会学会大会にて一般報告「地域への社会資源移動と権利擁護-日米の精神医療政策比較から-」として発表、京都大学大学院法学研究科21世紀COEプログラム「21世紀型法秩序形成プログラム」市民社会研究グループによる研究会にて『精神障害者のアドボカシー」として発表、論文「医療・福祉領域における権利擁護制度の検討(1)」を『金沢法学』第46巻第1号に執筆した。
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Research Products
(1 results)