2001 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設に入所してきた被虐待児の虐待環境に関する社会学的研究
Project/Area Number |
13610212
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 秀紀 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60265105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 弘二 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (70315555)
浅田 豊 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (00315532)
佐藤 秀一 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (80315556)
松川 敏道 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (40305925)
鈴木 幸雄 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (20171267)
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Keywords | 児童養護施設 / 虐待児 / 虐待環境 |
Research Abstract |
本研究は、北海道内にある美深育成園に入退園した児童およびそめ保護者を対象に、児童およびその保護者の抱える問題を把握するとともに、(1)児童の入園時の問題行動の有無と保護者の問題との関連性、(2)児童の入園時と退園時での問題行動上の変化について検討した。調査の対象は、美深育成園に1946(昭和21)年から2001(平成13)年にかけて入園および退園した児童909名(男児484名、女児425名)とした。なお、調査票記入は、施設の担当職員を通して行った。解析に当たり、まずすべての調査項目に対し記述統計で検討した。次に、入園時の児童の問題行動の有無については、入園時の保護者の問題に着目し、χ^2検定で検討した。 その結果、入園時の保護者の問題は、養育困難の領域においては、「離婚・別居」が最も多く、次いで「経済的理由」となっていた。虐待等の領域においては、「放任等怠惰」が最も多く、次いで「身体的虐待」、「心理的虐待」、「性的虐待」の順となっていた。疾病等の領域においては、「精神疾患以外の長期療養」が最も多く、「精神疾患」、「アルコール依存」の順となっていた。 入園時の児童の問題行動は、「問題なし」と判断された児童は39.8%、逆に「問題あり」と判断された児童は60.2%となっていた。個々の行動に着目するなら、「盗み」、「その他」、「低学力ボーダー」、「家出」の順であった。 退園時の児童の問題行動は、「問題なし」と判断された児童は56.7%、逆に「問題あり」と判断された児童は43.3%となっていた。個々の行動に着目するなら、「盗み」、「その他」、「金品持ち出し」、「不登校」の順であった。 入園時における児童の問題行動の有無と保護者の問題との関連性は、男児においては、「問題行動有り群」は「問題行動無し群」に比較して、離婚・別居、身体的虐待、心理的虐待、放任等怠惰、精神疾患、アルコール依存、その他の各項目において、保護者が問題を有する家庭に多いことが示された。一方、女児においては、「問題行動有り群」は「問題行動無し群」に比較して、親の死亡、離昏・別居、長期拘留、就労、身体的虐待、心理的虐待、放任等怠惰の各項目において、保護者が問題を有する家庭に多いことが示された。 入園時と退園時の児童の問題行動上の変化は、男児においては、盗み、怠学、喫煙、不登校、いじめられる、嘘を言う・食事をこう・同情をひく、夜尿・失禁、低学力ボーダー、その他の9項目において問題行動の改善が示された。一方、女児においては、盗み、怠学、不良交遊、性的非行、喫煙、不登校、嘘を言う・食事をこう・同情をひく、低学力ボーダー、その他の9項目において問題行動の改善が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 佐藤秀紀, 鈴木幸雄: "児童養護施設に入所してきた児童及びその保護者の問題の経時的変容状況と環境関連性"社会福祉学. 42(2). 91-105 (2002)
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[Publications] 佐藤秀紀, 鈴木幸雄: "児童養護施設児童の入園時と退園時での問題行動上の変容"厚生の指標. 49. (2002)