2002 Fiscal Year Annual Research Report
「在日外国人」のメディア消費とトランスナショナルアイデンティティーの構築
Project/Area Number |
13610225
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
岩渕 功一 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (10327728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水越 伸 東京大学, 大学院・情報学環, 助教授 (60219623)
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Keywords | 在日外国人 / メディア消費 / エスニック・メディア / トランスナショナル |
Research Abstract |
今年度は移民/マイノリティーのメディア消費とトランスナショナルなアイデンティティー構築に関して、中国、韓国、(日系)ペルー、(日系)ブラジル系住民がメディアとどう接しているのかを、当方で作成した質問表をもとにさらなる聞き取り調査を行った。それに加えて、フィリピン系メディア、The Philippines Today、の生産・内容分析、テレビ番組「ここがヘンだよ日本人」の生産・表象・受容分析、地上波商業放送編制担当者へのアジア地域テレビ番組放映の可能性に関するアンケート調査を行った。調査内容が多岐に渡っているが、以下のような、いくつかの大きな傾向と発見が認められた。 1)年令、ジェンダー、職業、日本語能力・住居年数・地域などでメディア受容に多様性が見られ、出身国による単一の「コミュニティー」、そしてそれを代表する「エスニックメディア」という括り方をしてしまうことでその多様性が見損なわれる危険性がある。 2)日本国内のエスニックマイノリティーメディアは、人々の国境を越えた往来が頻繁になっていることを反映して、その生産・内容ともに日本とそれぞれの国をまたいだ「トランスナショナル」な傾向が強くなっており、この点でも従来の「エスニック」メディアという捉え方では収まらなくなっている。 3)外国籍住民の多くから、日本のメディアが言語的・内容的に国内に存在する多文化状況をほとんど考慮に入れていないこと、そして「外国人」をステレオタイプ的に描くことへの強い不満が指摘された。 4)インターネットが情報収集や意見交換の場として一層大きい役割を果たすようになっている。 5)中国、韓国系の住民は高い日本語能力を有する人が多いうえに、出身国のメディア商品や情報の入手も比較的容易であるため、日本で多様なメディアに頻繁に接することが可能となっている。
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