2002 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者グループホームにおける食事ケア・サービスに関する研究
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13610267
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Research Institution | Tochigi Junior College, Kokugakuin University |
Principal Investigator |
湯川 晴美 國學院大學栃木短期大学, 家政学科, 助教授 (00260307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 久美子 高齢者痴呆介護研究, 研修東京センター, 主任研究主幹
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Keywords | 痴呆性高齢者グループホーム / 食事づくり / 食事ケア / 痴呆性高齢者 |
Research Abstract |
痴呆性高齢者グループホームは2000年の介護保険導入とともに急速な増加がみられ、地域に密着した整備の推進が進められている。しかし、一方で従来の措置制度のもとで「入居者本位の生活」が損なわれるなど「ケア・サービスの質」をめぐる問題が提起されている。高齢者にとって、「食べること」は最も楽しみな営みであり、生活の質との関連は大きい。グループホーム入居者が日常の家事や食事づくりなどに参入し、数人で食事をすることは心の安定や満足感が得られ、食欲もでてきて、ひいては「おいしく食べて、生活全体を豊かにする」ことが考えられる。本研究は開設当初から、施設内での食事づくりを行っているグループホームにおいて食事づくりの実態を観察し、次に、入居者の好物「すし」のバイキング方式からの自由選択と量の把握およびグループホーム入居時とその後の食生活や身体の変化について事例的研究を行った。対象は栃木県下にある社団医療法人のグループホームに入居の9名(男2,女7,年齢75〜91歳)である。食事づくりは職員を中心に入居者2〜3名が手伝う形で行っており、朝食は30分、昼食1時間、夕食1.5時間の準備時間をかけていた。食事づくりで入居者が常時行っている仕事は買い物、調理操作(包丁を使う、ねる、ゴマをする、焼く、妙める)、調味および味見をする、盛りつけと配膳、後片づけ、ゴミの始末であった。すしバイキングでは食事が日常を上回り、中卜口、甘エビが好まれていた。入居時とその後6ヶ月の経過で、著しい変化を示したものは体重の増加(平均値41.5kg→44.2kg)であり、食事形態のアップ(常食→常食7名、きざみ食→常食2名)、排便のリズムが良好(9人中2人)、黒髪の現れ(9人中4人)などの改善がみられた。これらの観察記録より、食事づくりの実践は日常の生活を豊かにし、生活の質を向上させることが推察された。
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