2003 Fiscal Year Annual Research Report
障害乳幼児のPlay-Based Assessmentの開発と家族支援
Project/Area Number |
13610287
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 芳文 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (70106152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯村 敦子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (70326982)
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Keywords | 障害乳幼児 / 遊び / アセスメント / 家族支援 / ムーブメント教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、障害乳幼児の発達支援について、これまで我が国でほとんど手つかずであった家族参加や家族のもとで可能な方法を確立することである。この家族参加型療育は、障害児を抱える家族が、子どもを病院や療育センター、障害児施設という専門機関で支えてもらうだけでなく、自分たちの環境で支援するという「家族力」を参加させるものである。この療育の意義は、家庭における遊びのメニューが豊富になること、また、子どもを取り囲む家族(親子)の絆を密にするため育児の循環が良くなり、その結果、形式的育児から開放的で柔軟な育児へと転換が図られることなどがあげられる。 本年度は、ムーブメント教育による家族参加型療育を展開するために、ムーブメント教育理論と具体的なプログラムについての映像(「ムーブメント教育・療法-基礎編-」)を作成した。その内容は、子どもの発達に即して、感覚運動ムーブメント、知覚運動ムーブメント、精神運動ムーブメントが様々な環境や遊具を活用しながら家庭や療育センターで展開できるように構成されている。このような映像による具体的な支援内容を提示することで、養育者は子どもの発達における動的環境の重要性について理解を深め、さらに、支援に向けた遊びのメニューを発展させることができた。 そして、我が国における個別家族支援計画(Individualized Family Service Plan ; IFSP)の構築に向けて、弱視や難聴等の感覚障害、知的障害、自閉症等の発達障害、脳性マヒ等の運動障害、重症心身障害児など、様々な障害やそのタイプ・行動特性等に応じたIFSPのあり方や支援プログラムの実際について検討した。特に、重症心身障害児に対する支援では、ムーブメント遊具などを活用することにより、彼らの感覚運動発達支援に向けたより自然な取り組みや、楽しむという遊び的な要素を取り入れることの可能なことが実証できた。これにより日常的な活動の要素などを取り入れた、全包囲的な視点にもとづく、重症心身障害児のための家族参加型療育に活用することが可能なムーブメントアセスメントやプログラムが開発できた。
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[Publications] 小林芳文: "障害乳幼児を持つ家族への支援-IFSPについて-"児童研究. 82号. 1 (2003)
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[Publications] 飯村敦子, 小林芳文: "Clumsinessを呈する児童のムーブメントスキル-経験に影響される運動スキルに関する健常児との比較-"日本特殊教育学会第41回大会発表論文集. 505 (2003)
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[Publications] 飯村敦子: "自主シンポジウム:QOLを高める余暇支援活動の展開-ムーブメント教育による家族支援の視点から-"日本特殊教育学会第41回大会発表論文集. 128 (2003)
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[Publications] 是枝喜代治, 小林芳文: "自閉症児の運動発達支援に関する事例研究-MSTB検査、BCT検査を指標として-"日本特殊教育学会第41回大会発表論文集. 433 (2003)
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[Publications] 是枝喜代治, 小林芳文: "自閉症児の運動模倣能力の特性"発達障害研究. 25・4. 265-279 (2004)
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[Publications] 藤井由布子, 小林芳文: "米国のIFSP(個別族支援計画)における家族アセスメントの取り組み"学校教育学研究論集(東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科). (発表予定).
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[Publications] 小林芳文, 藤村元邦編著: "ムーブメント・セラピー-発達障害・重症心身障害児(者)の医療・福祉・教育にいかすムーブメント法-"メディカ出版. 342 (2003)