2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポートフォリオを使った評価規準及び評価基準表の活用法の研究
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13610289
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Research Institution | Fukui University |
Principal Investigator |
安藤 輝次 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (70143930)
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Keywords | 評価規準 / 評価基準表 / ポートフォリオ / 深い理解 / 見取り評価 / 教師研修ビデオ |
Research Abstract |
平成14年度において研究実践を行った結果、次のような成果を得た。なお、以下の番号等は、昨年提出した「交付申請書」の「研究実施計画」の番号等に対応したものである。 1.アメリカの小学校社会科教科書の分析によって、単元を通してポートフォリオ的な評価が位置付けられていることが判明し、ハーバード大学のプロジェクト・ゼロを訪問した結果、単にガードナーの認知心理学をそのまま適用しているのではなく、教育方法学のパーキンスの考え方を深く浸透させていることが明らかになった。 また、プロジェクト・ゼロでは、現在、子どもたちを「深い理解」に至らしめるための一つのアプローチとして「理解のための指導Teaching for Understanding」を普及させようとしているので、そのガイドブックを全訳した。 2.I)福井県教育研究所における評価規準づくりに際して、国立政策教育研究所の評価規準を活用しながら、特に小学校及び中学校の国語、算数・数学、社会の評価規準の開発とその授業実践に助言を行い、国・県・学校(とりわけ教室での授業)の連携の在り方について研究した結果、授業に評価規準を導入した直後に微調整が必要であり、また、発展学習も見越して、「おおむね満足」だけでなく「十分満足」も含めた評価基準表が必要であることが分かった。 II)「書き方」「プレゼンテーション」「討論」に関する一般的分析的な評価基準表を抽出するために、(a)子どもの該当作品やビデオを視聴して、評価規準とそれを構成する項目を抽出してたたき台の評価基準表を創り、(b)次に、それを基にして小学校、中学校、高校、大学の授業で3回以上にわたって授業を実施した後、(c)子どもだけでなく授業担当の教師にも評価基準表で評価してもらい、子どものものと照らし合わせながら、評価規準およびその下にある諸項目の異同を確認し、(d)その結果に基づいて修正加筆した評価基準表を作り出した。 このようにしてできあがった評価基準表は、単一教科や単一単元ではなくどの教科でもどの子どもにも適用可能という意味でより一般的なものになったと言えよう。ただし、小学生に対しては、読みやすさや理解のしゃすさを考慮して、評価規準や項目の記述を分かりやすいように変更した。 3.これらの一般的分析的な評価基準表や見取り評価の重要場面をカラープリンターで出力し、それをラミネート加工して、パンフレットケースに保管し、必要な時にはいつでも使えるようにした。 4.これまで子どもと一緒に評価規準を創ったり、評価基準表を導入する授業についてビデオで記録してきたが、それらをすべてチェックして、重要場面を抽出し、その説明も挿入しながら50分程度のビデオを編集し、教師向けの研修用ビデオ教材を製作し、実際に研修場面でも使用した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 安藤輝次: "キー・スクールに見る学校改革の理論"指導と評価. 第48巻6号. 49-49 (2002)
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[Publications] 安藤輝次: "ポートフォリオ評価をどう工夫するか"教職研修. 第359号. 60-63 (2002)
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[Publications] 安藤輝次: "学習指導の点検・評価"教育評価研究会(編)『学校評価・自己点検のマニュアル』ぎょうせい. 424-475 (2002)
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[Publications] 安藤輝次: "二学期の「評価」作業に向けて、今から準備しておくこと"週刊 教育資料. 767号. 7-8 (2002)
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[Publications] 安藤輝次: "相対評価・絶対評価・個人内評価、診断的評価・形成的評価・総括的評価"奈須正裕(編)『評価規準の設定と運用法のポイント』教育開発研究所. 1月増刊号. 4-8,29-33 (2003)
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[Publications] 安藤輝次: "学習評価の方法"学校教育研究所(編・発行)『学習指導の現代的課題』. 162-165 (2003)