2001 Fiscal Year Annual Research Report
高校における学校体験と20代初めの時点での進路分化-沖縄県における調査研究
Project/Area Number |
13610309
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
長谷川 裕 琉球大学, 教育学部, 助教授 (30253933)
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Keywords | 進路分化 / 沖縄 / 高校生 / 若者 / グローバリゼーション / ローカル / ギデンズ / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は、1994年度に沖縄県内の高校に入学した若者たち約1800名(かつて私は、彼ら/彼女らが高校生だった頃、学枝体験、進路意識等について質問紙調査を行っている)を対象にした調査を通じて、沖縄の若者たちの進路分化やその際の意識のあり方等を掴むことを目的としたものである。本年度当初の時点では、(1)統計的調査、(2>インタビュー調査、(3)理論的研究の3分野にわたって研究を進める計画を立てていた。 実際の研究のプロセスは、必ずしも計画通りには進まなかった。(1)については、上記の対象者に対する新たな質問紙調査の準備を進め発送の段階までこぎ着けた。(2)については、今年度は実施できなかった。(3)については、イギリスの社会学者ギデンズの著書の読解を通じて、当初の時点では予定していなかった、私にとっては新しい分析の視点を得ることができた。ギデンズは、今日の後期近代の時代においてグローバリゼーションが加速化すること、しかしそのことによって人間たちの生活のローカルな次元が消滅するわけではなくその再編がされる(時として、ローカルなものが以前にもまして活性化する場合もある)のであることを指摘している。こうした指摘に触発されて、今回の調査研究の対象者である若者たちにとって、グローバリゼーションの進展という情況との関わりの中、沖縄というローカルがどのように意味づけられているのか、それが彼ら/彼女らの意識や行動をどのように規定しているのか、これらの点をも分析の視点に加えてみようと考えている。(1)の質問紙にも、その視点にもとづく質間項目を設けることができた。また、上記のようなギデンズの見解をも生かした、イギリスの若者研究の成果にも触れることができ、今後そこから得た知見や触発された発想を生かすこともできることと思う。
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