2003 Fiscal Year Annual Research Report
カトリシズムにおける「教養としての宗教教育」に関する基礎研究
Project/Area Number |
13610319
|
Research Institution | Shirayuri College (Shirayuri Joshi Daigaku) |
Principal Investigator |
佐々木 裕子 白百合女子大学, 文学部, 助教授 (60286888)
|
Keywords | カトリシズム / 宗教 / 教育 |
Research Abstract |
本年度は、以下の三点を中心に、視野を広げて検討を試みた。すなわち、1)第二バチカン公会議以降の宗教教育の変化について、カトリシズムの宗教教育の理念に一定の影響を与えたと考えられるバーナード・ロナガン(B.Lonergan)の諸宗教に関する認識理論を中心に検討した。カール・ラーナーと並んで、第二バチカン公会議に影響を与えたと言われるロナガンの認識論は、カトリシズムにおける「教養としての宗教教育」の理論的基礎となる「諸宗教の神学」理論や他宗教理解において大きな役割を果たしたと考えられている。彼の理論は、ある意味で同じカトリックの教育思想家であるパウロ・フレイレの認識論とも通じるところがあり、その比較についてもロナガン研究者と共に一部試みた。今年はちょうどロナガン生誕100年にもあたり、多くのロナガン研究者ともこの点に関して意見を交わすことができた。 2)アメリカにおける宗教教育の一般的な変化(各種プロジェクトを参考)の中におけるカトリシズムの現在の状況を調べることにより、カトリシズムの「教養としての宗教教育」の進展状況を考察することができると考え、アメリカの研究者及び宗教教育実践者との意見交換を試みた。また、現地(マサチューセッツ州)において宗教教育を実践している教員たちとも面接を行い、具体的な教育内容に関しての聞き取り調査を行った。 3)近年、翻訳及び日本版が出版された『新カテケージス(公教要理)』において提出された内容が実際の教員たちの間で理解され、実際の教育内容としてまとめあげていくシステムについて必要と考え、日本のカトリシズムにおける「教養としての宗教教育」の実践を語る上で欠かせない、宗教教育の直接のインターフェースとなる宗教科の教員の養成、とりわけ生涯養成のシステムに関しても調査を試みた。
|