2001 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ日系女性移住者の文化変容に関する文化人類学的研究
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13610361
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
山田 千香子 長崎県立大学, 経済学部, 助教授 (30311252)
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Keywords | カナダ / 日系社会 / 文化変容 / 新移民(新移住者) / カナダ移民法 / 移住の契機 / 女性移住者 / バングーバー |
Research Abstract |
1.バンクーバーにおける戦後の日系社会の変遷<旧移民と新移民>:日本からカナダヘの移住が促進され「新移民」と呼ばれる層が増加したのは、1967年のカナダ移民法改正を契機としている。移民法の改正の中心は「人種規制」を撤廃し職業技術や経験・能力を重視したことである。日本からの移住者の特色としては、概して教育程度が高く、都市生活者といった点が挙げられ、さらに彼らが日本において従事してきた職業も幅広い。報告者のインフォーマントだけに限定しても、医師、会社経営、画家、菓子技術者、県職員、建設コンサルタント、高校教諭、商社員、省庁勤務、自動車整備士、出版社勤務、大学教員、その他と多岐多様にわたっている。戦前の旧移民の場合、その大半が漁業や農業が主たる職業であり、その多くが家族や親族の呼び寄せという移住の形態であったことに比較すると、職業においても個人移住という移民の形態においても、新移民の特色が浮き彫りにされる。 2.日系女性移民の移住契機の変遷<戦前と戦後>:戦前の女性移民がカナダ移住する契機となったのは圧倒的に「結婚」であった。カナダで働いていた夫からの呼び寄せ、あるいは結婚後夫の移住に伴ってカナダに移住したというケースが多くを占める。また、結婚相手も同村あるいは近隣地域出身者ということに戦前移民の特色を指摘できる。戦後(とくに1967年の移民法改正後)日本からカナダヘの女性移住者数は年々増加傾向を示し、1976年前後から男性の移住者数を追い越し、1995年の統計では男性31.9%に対し女性は68.1%を示している。彼女たちの渡航目的は進学・語学留学・就職・仕事あるいは旅行等と多様であるが、その多くが単身者であり、出身地域も多様である。バンクーバーにおいては、趣味・文化的な親睦を目的としたグループづくりがなされている。活動内容は多岐に渡るが、中心の目的は各方面におよぶ情報の交換である。定住後のカナダ社会への適応やコミュニティ参加状況は、語学力などによって個人差がみられるが、交際範囲は同じエスニック集団に留まる傾向がみられる。政治的芸術的活動に積極的に幅広く参加する、あるいは目的によってエスニック集団を越えた活動というのはみられない。
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Research Products
(1 results)