2003 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ日系女性移住者の文化変容に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
13610361
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Research Institution | Nagasaki Prefectural University |
Principal Investigator |
山田 千香子 長崎県立大学, 経済学部, 助教授 (30311252)
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Keywords | カナダ日系女性移住の要因 / ジェンダー規範からの離脱 / 暮らしやすさ / 家族合流 / ライフスタイル / 移住者の年代・世代的特色 / ワーキング・ホリデー / 永住権取得 |
Research Abstract |
カナダ日系女性移住の要因:(1)ジェンダー規範からの離脱:カナダに移住した女性の多くが、日本の企業社会における働きにくさを、カナダで就職することを決めた理由のひとつにあげている。日本の企業社会のなかで性差別的な待遇があることに限界を感じ、男女が平等に働けるといわれるカナダに可能性を求めて移住を選択している。高い教育を受け一流企業に勤めても、お茶くみしかすることがないことに不満を感じ、また、男性と女性との昇進や給与の格差などについても多く語られた。新日鉄の東京本社勤務が長かったHさん、男性の3倍〜5倍やって初めて認められる状況だったこと、男女格差があまりにも激しいことに会社へ直訴したという。歯科医のSさんは日本の大学医局のなかで「男社会序列制」に失望。既に7年勤務し歯科医としてのキャリアも積みあげているところだったが、海外にでることを決意しカナダの医師資格を取得するために渡航(1997年)した。1年かけて必要な4つの試験をパスさせ、現在バンクーバーで開業している。日本社会における「会社主義」や「男性中心主義」による軋轢のなかで、自己の位置づけが不安定であり、「先行きがみえてこない」という認識がある。とくに女性の場合、企業内でのキャリア・アップやこれに伴う生活設計がみえてこないというだけではなく、さらに加えて、女性の人生において重要な分岐点とされている結婚規範への違和感があることも大きな要因としてあげられる。とくに20代後半からまわりからの結婚に対するプレッシャーを意識し、30歳を過ぎてから独身でいることに生きにくさを感じてきたという女性は多い。 (2)カナダ社会の暮らしやすさ:移民受け入れ側の体制カナダの移民政策と永住権取得について (3)結婚を契機とした(配偶者として)移住<家族合流>。 (4)自由なライフスタイルを求めての移住。(5)移住の世代的特色(1)移住した年代:1960〜1980年代<海外へのあこがれから>この世代女性の学歴は比較的に高く、日本で大学卒の学歴を有し、留学生として海外へでた経験をもつ者も多い。現在語学力を活かして教育、翻訳サービス、編集、図書館司書などの専門家になっている。社会に対する意識も高い。(2)ワーキングホリデー制度世代:1990年代以降:これらの女性は仕事として、日本人向けのサービス業や小売業に集中している。
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Research Products
(1 results)