2002 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト西部砂漠ベドウィンにみる聖性継承の論理―出自論と聖者論の接合
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13610364
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
赤堀 雅幸 上智大学, 外国語学部, 助教授 (20270530)
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Keywords | ベドウィン / 聖者 / 出自 / イスラーム / 中東 / 境界性 |
Research Abstract |
エジプトの西部砂漠に居住するベドウィンの間で、「ムラービティーン」と称される人々が占める周縁的な位置を多面的に論じることで、従来の研究の二つの柱であるベドウィンの出自論と聖者論を接合させることを目指した。結果として、イスラームの信仰実践における聖者の境界性とベドウィンの出自組織におけるムラービティーンの境界性が「聖者の末裔」であることを名乗るムラービティーンの存在を範型として成立していることの全体をかなり明らかにすることができた。また、スーフィズムと聖者信仰の関係についても、スーフィズムの欠如した聖者信仰の形を紹介することで、この分野の研究に寄与することができた。 データ整理に関しては、前年度に作業が終了しなかった分について、電子データへ転換する作業を進めた。大半の作業を終了したが、なお一部についてはリファレンス充実の必要がある。儀礼歌を訳出する作業は、アレクサンドリア大学文学部人類学科在籍の学生に協力を依頼したが、連絡の不備、先方の不履行もあり、これについては期待した成果を上げることができなかった。 具体的な成果としては、9月にマインツ(ドイツ)で開催された第1回中東研究世界大会(WOCMES)で、本研究の成果を英語で口頭発表し、それを含めた論集の刊行を準備している他、関連する論考若干を発表した。書誌的には平成13年度に発表された形となる複数の事典(『岩波イスラーム辞典』[岩波書店、2002年]、『イスラーム世界事典』[明石書店、2002年])や来年度刊行予定の事典、論集などの担当分にも間接的に成果を反映させることができた。『民族學研究』および『イスラム世界』への投稿の予定は、執筆の時間的制約からかなわなかったが、これに代えて東京大学出版会から平成14〜15年度に刊行される予定の『イスラーム地域研究叢書』において、本研究の成果を3本の論文として発表の予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masayuki Akahori: "Social and Anthropological Studies : Started Lately but Developing Rapidly"Orient. 37. 98-118 (2002)
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[Publications] 赤堀 雅幸: "エジプト/『世界の母』の国のイスラーム"アジ研ワールド・トレンド. 85. 20-21 (2002)
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[Publications] AKAHORI Masayuki: "Ziyara and Saint Veneration among the Bedouins in the Western Desert of Egypt"Islamic Area Studies Project. 20 (2002)