2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610369
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
小嶋 博巳 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (60186682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智彦 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70188316)
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Keywords | 六十六部 / 廻国 / 巡礼 / 供養塔 / 石造物 / データベース |
Research Abstract |
これまで研究代表者および研究分担者のもとには約2000件の廻国供養塔データが蓄積されていたが、本年度はいまだデータの乏しかった地方、具体的には東北・東海・四国・九州を重点的に対象として資料の収集を図った。方法は、市町村史・文化財調査報告書等の刊行物の調査を主体とし、一部、市町村教育委員会などから未刊行資料の提供を受け、またごく限られた地域ではあるが実査もおこなった。その結果、約1000件の情報を入手し、データベースに追加した。 追加されたデータ量は計画に比して十分なものとは言えないが、これは石造物調査の進捗および調査結果の公開状況に、府県ごと・地方ごとにかなり大きな懸隔があったためである。徳島県・宮城県・山口県などは比較的調査が進んでおり、既存刊行物によって各県100件前後のデータが得られた。他方、北九州各県などは、精査にもかかわらず、入手しえたデータはごく少数にとどまった。ただ、情報の乏しいことがただちに廻国供養塔が少ないことを意味しないことは実査によっても確認しており、次年度は未刊行資料の収集も積極的に進めたい。 収集データの本格的な分析は次年度の作業となるが、造立件数の推移などにはかなり明瞭な地域差が認められた。簡単に述べれば、東日本では近世中期のピークに比して後期はあきらかな衰退を示すの対して、西日本では中期のピークはむしろ小さく、反対に後期になっても衰えずに造立が続いている。また、後期の供養塔に願主行者以外の助力者が刻まれ、しかも彼らがしばしば複数の供養塔に重出することから六十六部廻国者の組織性の問題が浮上するのであるが、これもそうした現象が顕著な地域と、かなりの数の供養塔が確認されながら認めにくい地域とに分かれた。全国規模の巡礼ではあるが、その受容の地域性の問題も視野に入れてゆく必要があろう。
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Research Products
(1 results)