2002 Fiscal Year Annual Research Report
山車等の祭礼シンボル-祭礼風流-の造形に関する民俗学的調査研究
Project/Area Number |
13610371
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
福原 敏男 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (20156805)
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Keywords | 山車 / 曳山 / だんじり / 都市祭礼 |
Research Abstract |
山車・だんじり・曳山・屋台などが巡行する大規模祭礼は全国に1,500件にも及ぶ事例が報告されている。本研究においては、地域的に独自の祭礼文化圏を形成している代表事例を選定して、文献・伝承・画像資料を調査、比較することにより、日本の祭礼シンボルの特色をうかびあがらせることを目的としている。 本年度は歌舞伎の所作事などが演じられる芸屋台(移動式舞台)の祭礼として、石川県小松市の御旅祭りの調査を実施した。これは3年目の継続調査であり、古写真、文献資料調査とも併せて、聞き取りと祭礼の参与観察を行った。その結果、従来、小松では滋賀県長浜市の子供歌舞伎よりの影響・伝播説が定説をしめていたが、長浜型曳山の特色である「亭」がないことによって、子供歌舞伎上演はともかく、曳山の構造自体はもっと広い視野からみるべきであることが判明した。例えば、金沢において江戸中期から明治2年まで44回も実施された「盆正月」と称する藩主の慶賀の祝祭行事などにおいて、芝居や作り物がでていたことがわかっており、小松の事例も金沢からの影響や、浄土真宗地域における豪華な寺社や仏壇の建築技術に長けた地元の大工や塗師による建造等、さまざまな可能性を探るべきであることがわかったことは大きな収穫であった。同様な芸屋台の事例として、広島県吉田町の曳山芝居と曳山子供歌舞伎の岐阜県揖斐川町三輪神社祭礼の調査を実施した。これも継続調査をする予定である。さらに人形作り物をのせる大型祭礼である八戸三社大祭を調査した。今回の調査で判明したことは、その出し物にある種の傾向があることである。歌舞伎の見得などの雛形集を元にして、作り物が構成されていることが判明した。また、絡繰山で著名な大津祭りと名古屋東照宮祭礼の文献・画像資料調査、仙台東照宮祭礼の作り物の版画の悉皆調査を実施した。
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