2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世後期における顕密仏教勢力の「民衆」化と律衆の社会的活動
Project/Area Number |
13610389
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
大石 雅章 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (50152046)
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Keywords | 律衆 / 西大寺 / 民衆教化 / 顕密寺社勢力 |
Research Abstract |
本年度は、主として顕密仏教の展開から鎌倉後期に誕生し、西大寺を拠点に民衆への宗教活動を展開した律衆について、その史料収集および検討をおこなった。 a史料収集については、 (1)東京大学史料編纂所の架蔵写真版・影写本の文書を中心に中世に全国的に形成された西大寺律衆の末寺文書を調査した。 (2)大阪大学日本史研究室の架蔵写真版浄土寺文書を調査した。なお『広島県史』に翻刻されている。 (3)西大寺などを訪れ現地の調査をおこなった。 b史料検討について 西大寺律衆の活動、とくに従来の顕密仏教勢力との関係に視点をあてながら,主として浄土寺文書を中心に検討をすすめた。備後国浄土寺の律衆寺院化にあたっては、本寺である高野山金剛峰寺の検校及び衆徒の許可が必要であった。またそれ以後も高野山金剛峰寺は浄土寺の本寺として末寺役である年貢を徴収し続ける。 研究成果 律衆の活動を支えた勢力に従来の顕密仏教勢力があり、律衆の活動には、顕密寺院の支配をより安定化させる機能をもったことをあきらかにしえた。このように、全国的な民衆教化も領主支配の再建と不可分のものであったといえる。
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Research Products
(1 results)