2002 Fiscal Year Annual Research Report
昭和戦前期における「支那通」外交官の情報戦略と外務省の中国政策
Project/Area Number |
13610398
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
劉 傑 早稲田大学, 社会科学部, 助教授 (80288018)
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Keywords | 支那通 / 日本通 / 外交官 / 外務省 |
Research Abstract |
平成14年度は本研究課題の2年目にあたる。研究計画のとおり、本年度において基礎的な史料収集と史料整理及び最終研究結果の発表に向けて一部の論文執筆を開始している。 まず、日本国内の史料は主として満州国関係の記録の整理に重点をおいた。「支那通」外交官の満州国に関する認識と情報は、日本の対満洲政策のみならず、対華北、華中政策の策定と展開にとっても重要な参考となっていた。外交官が現地から送った報告書と、満州国の官僚として現地にいる人々の認識とを比較することによって、「支那通」外交官の意図や戦略が浮かび上がってくる。本年度中、「善隣協会」という満洲関係の団体が保存している史料を調査し、上記の論点をテーマに論文をまとめている。 海外の史料については、本年度中に中国大陸及び台湾での史料調査を行った。中国では上海档案館や南京第二歴史档案館を訪れ、中国の外交担当者や民間人が日本の現地外交官と接触したときの記録などを中心に調査した。台湾では国史館を中心に国民政府の公式記録に残されている対日政策の立案過程などの史料を中心に調べた。いずれも貴重なデータを手に入れたので、今後の研究成果のまとめに大いに役立つだろうと確信している。 一方、昭和戦前期の「支那通」を理解するためのもう一つの手がかりとして、戦前と戦後の連続という視点から、戦後の日中関係に活躍した「中国通」や「日本通」についても調べてみた。両国の関係者はいずれも戦前の「支那通」と「日本通」に対する深い理解に基づいて活動したことが分かる。中間成果の一つとして論文をまとめた。 平成15年度は外交史料館を重点に調べると同時に、コロンビア大学東亜研究所に赴き、そこに所蔵されている日本と中国の関係史料を中心に調査する予定である。これを踏まえて、成果発表に向けての執筆に重点を移していきたいと考える。
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Research Products
(2 results)