2002 Fiscal Year Annual Research Report
ワシントン体制下の中国東北地方政府対日政策決定過程と日中文明観相克の解明
Project/Area Number |
13610425
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松重 充浩 日本大学, 文理学部, 助教授 (00275380)
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Keywords | 中国近代史 / 満州 / 中国東北地域 / 張作霖 / 張学良 / 満州日日新聞 / 奉天公報 |
Research Abstract |
研究第2年度にあたる本年度は、昨年度に引き続き研究課題遂行に必要な史料収集・整理を行った。 まず、本年度は、昨年度が現地档案史料と現地新聞史料が中心であったのに対して、主に日本側軍部、満鉄等の刊行文献史料(ex.『満州地誌』、各種回想録)の収集・整理を精力的に行った。その結果、中国東北地域における在地農業生産・流通・金融を一体的に把握した在地有力者層を中核とする現地中国側諸主体が、清末の所謂「新政」遂行に則しつつ自立し自らの利害に則した文明観を確立していく課程を、前年度収集・整理した史料と併せて検討することで具体的に確認することができるにいたった。加えて、軍人、商工業者、日本本土政治家などの日本側現地諸主体が、中国側諸主体との競合的関係性の中から、1920年代後半には国際法秩序の規範的内実としての文明観を教条的に中国に対して適用していく過程が具体的に明らかになった。この他、清末から1931年までの中国側現地地方行政制度変遷の過程も再構成を終了し、日中間の文明観相克が生起する現地政治構造分析の前提確保も行った。 また、本年度は、昨年度収集した『満洲日日新聞』および『奉天公報』の重要部分を、将来のWeb上での公開を念頭に置いてCD-ROMに取り込む作業も精力的に行った。これは、本研究における史料的前提を、研究者間で広くより利便的に共有することにより将来における本研究の更なる発展を念頭に置いたものである。
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