2001 Fiscal Year Annual Research Report
古代ローマにおけるトリブスの社会的諸機能についての研究
Project/Area Number |
13610439
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
砂田 徹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (10206576)
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Keywords | 古代ローマ史 / トリブス / 監察官(ケンソル) / アエラリウス |
Research Abstract |
当初平成13年度は、トリブスの社会的機能のうち、ローマ領の拡大に伴い新たにローマ市民となった人々がローマへと編入・統合されていく際にトリブスが果たした役割について考察する予定であったが、この点は、平成13年3月に公刊された拙稿「共和政期ローマにおける市民団の拡大とその編成原理-トリブス制の変遷を軸として-」『西洋史論集』<北大>4号において、ある程度解明することができた。そこで本年度は、平成14年度に予定されていた都市トリブスについての考察の中から、「トリブスから移す」(tribu movere)を取り上げた。従来、都市トリブスは、ローマ市民団の中でも社会的に劣格とされた人々が封じ込められていたトリブスと考えられており、その論拠のひとつをなしていたのが、監察官による「トリブスから移す」という譴責である。すなわちこの譴責により、ローマ市民の義務に悖るとされた人々が、従来の所属トリブスからより劣った都市トリブスへと転籍=左遷されたと考えられてきたのである。このような通説に対して本研究においては、関連史料の網羅的な検討から、「トリブスから移す」がそのような意味を持っておらず、それは監察官による単なる「不名誉」の烙印にすぎない可能性が高いことを明らかにした。とすれば、同じく都市トリブスに押し込められ都市トリブスが劣格であったことの論拠とされてきた、解放奴隷、役者、そして非嫡出子の都市トリブス登録に関しても、再考の必要性が生じてくるが、この点は、次年度の課題としたい。
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