2002 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシア民主政における説得と合意の文化史的研究
Project/Area Number |
13610449
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鈴木 広和 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80273738)
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Keywords | ハンガリー / 議会 / 身分制 / ギリシア / 民主政 / 贈与 / 説得 / 賄賂 |
Research Abstract |
研究代表者(鈴木)は、前年度からの研究課題を引き継ぎ、古代ギリシアにおける政治的合意形成プロセスの諸形態を近年の研究成果を応用して分析した。その結果、古代ギリシアには、ポリスの成立以前より血縁ないし共同体の枠組みを超えた疑似血縁的・儀礼的友誼関係(ritualised friendship)が社会関係形成の重要なファクターとして存在していたことを確認した。クセニアと呼ばれるこの友誼関係は、贈与交換を重要な要素とし、共同体の上層階級どうしのあいだに取り結ばれる人格的関係であり、アルカイック時代には、この関係こそが国際政治を規定する重要な要因であった。 さらにこれとの関連においで、古代ギリシアと文化的連続性の濃厚な、バルカン・東欧地域の伝統社会における政治的合意形成の問題を、主としてルネサンス時代のハンガリー王国社会における貴族層の合意形成という側面において分析、整理した。ここでもやはり血縁、疑似血縁、儀礼的友誼関係は重要な役割を果たしており、従来主張されてきたような中央集権的国家の枠組みを14-15世紀のハンガリー王国に認めることは困難であることを明らかにした。総じて、前近代におけるバルカン・東欧においては、現在もなおその傾向が強く認められるように、共同体的・民主的合意形成に先立って、少数の有力者がお互いの人格的関係形成によって政治的合意を形成するという慣行が存在し、これら新旧2種類の合意形成作法は互いに密接な関連をもちながら、なおまじりあうことなく併存していったことが注目される。 以上の研究課題追究のために、関連する基礎的史料・研究文献を収集し、コンピュータによって整理、分類、分析した。そのためにノートパソコンの購入は必須であった。それらのデータを整理分類し、また新刊図書購入に関する雑務を行うために、必要に応じて日雇者の協力を得た。
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Research Products
(2 results)