2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本語の方言分布境界線(関越線・気候線)による方言の重層性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13610492
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
安部 清哉 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (80184216)
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Keywords | 日本語 / 方言学 / 方言境界線 / モンスーン・アジア / 系統論 / 気候 / 東アジア言語 / 言語地理学 |
Research Abstract |
日本語方言境界線(気候線・関越線)による東アジア言語形成について、以下の新しい知見を得ると同時に、日本を含むインドからアジア・南太平洋を含む「モンスーン・アジア圏」という広域文化圏の存在を、初めて提示できた。 1(1)日本語方言の気候線・関越線をもつ分布を、それぞれ複数新たに指摘できた。 (2)境界線の歴史関係について気候線→関越線→糸魚川浜名湖線の順序が指摘できた。 (3)特に気候線は、朝鮮語・中国語での方言境界線、さらにインド西部までの言語境界線に連続している可能性が高いことを指摘できた。 (4)気候線・関越線がアジア言語の河川地形名・言語分布と関係することを指摘した。 (5)日本語の背景として「モンスーン・アジア」地域の広域言語層の存在を指摘できた。 2、朝鮮半島における方言境界線を指摘し、それが気候・文化の境界とも重なっていること、それらの境界と古代朝鮮の河川地形名の境界が一致することを確認できた。 3、中国大陸における方言境界線を確認し、それが気候・文化の境界とも重なっていること、それらの境界と中国の河川地形名の境界が一致することを確認できた。 4(1)「モンスーン・アジア」地域における広域河川地形名*nahdiの分布領域と「類別詞」の特異な分布領域が重複することを初めて指摘した。 (2)それら言語特徴と文化的諸現象の分布の重なりを指摘し、文化圏としての「モンスーン・アジア」圏が確認できた。 ◆新たな展開としては、接中辞や母音の円唇/非円唇性の分布がモンスーン・アジアを越えてアフリア・アラスカ付近まで確認でき、「モンゴロイド」の拡散過程とその言語展開史という文化人類学的視点でも、本研究の有効性発展性が確認できた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 安部 清哉: "東アジア(日本語・韓国語・中国語)の河川地形名の偏在と方言分布・気候との相関"韓国日本学会(KAJA)第63回学術大会Proceedings. 63. 81-84 (2001)
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[Publications] 安部 清哉: "書評 迫野虔徳著『文献方言史研究』"国語学. 52-1. 42-48 (2001)
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[Publications] 安部 清哉: "東アジア(日本語・韓国語。中国語)の河川地形名の偏在と方言分布-気候との相関 配布地図・補説"玉藻(たまも). 37. 1-11 (2001)
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[Publications] 安部 清哉: "日本語訳 韓国方言学会編『国語方言学』第1章"フェリス女子学院大学文学部紀要. 37. 15-68 (2002)
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[Publications] 安部 清哉: "方言地理学から見た日本語の成立-第3の言語史モデル理論としての"Stratification Model"-"『方言地理学の課題』(明治書院・単行本). 236-250 (2002)
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[Publications] 安部 清哉: "日本語の歴史地理的研究"私家版. 535 (2001)